【SARS10年を回顧-5】*旧ブログ

懲りずに、10年前のSARSを振り返って行きますね。

季節は3月下旬にさしかかり、どんよりと曇って湿気が多くて気温も低いという、1年でも最もいや~なお天気から、一気に(まさに突然!)晴れの日が続き、気温もあれよのうちに20度を軽く超えちゃって、行楽シーズンたけなわとなる香港ですが、この年は、いくらお天気が良くても、どよーんとした空気が香港全体を支配していましたね。

もう、とにかく「全港全民消毒魔」というか、「全港全民神経過敏症」みたいなね。

小生はくしゃみが派手なんです(笑)。

「ひぇっくしょぉん!
おっら、あほンダラ、ボケ! えくすきゅーずみ~」

みたいな具合ですな(笑)。

万一、エレベーターの中でくしゃみでもしたら、それこそ蜘蛛の子を散らすように、同乗者が一斉に四隅に「避難」して、白い眼でにらまれます。
仕方ないですよね…。そういう時世でしたから。

この時期、屋外でマスクをしていないのは、 広告看板の中の人だけでした

にしても、決して「清潔」とか「衛生的」ではなかった香港が、突如として「消毒」やら「お掃除」に気を遣うようになったのには、驚きました。

「やればできるやん!」

と(笑)。<ごめんねw

【3月24日】
■医管局・何兆煒行政総裁はSARSの兆候とみられる体の不調を訴え、マーガレット病院へ入院。

香港政府の偉い人もSARSになっちゃぃます

■離島の坪洲(Peng Chau)に住む5歳男児が、肺炎に似た症状を起こし、24日早朝、水上警察により香港島のセントラル埠頭へ移送、そしてクイーン・マリー病院へ送られた。この男児を移送する警官と救急隊員はみなマスクと手袋を着用。SARS感染かどうかは不明。

■スクールバス、業務シャトルバスなどを運行させている冠忠バスグループは24日、馬鞍山の小学校のスクールバスの添乗員女性がSARSに感染していると発表。同一路線のバス従業員を一週間休ませることに。

■衛生福利及食物局は、本日新たに18名のSARS感染者を確認。7名が医療機関職員、11名が親族からの感染ここまでで合計260名。また本日2名が死亡。1名は60歳過ぎの血液病患者、もうひとりは40歳過ぎの肝炎患者。SARS患者の死亡はこれで10人目。さらに13歳と17歳の学生がSARSに感染。

■MTRC(地下鉄会社)は、全面的に列車の消毒作業をすると発表。毎日消毒剤で洗浄し、SARSの予防とする。また今月中旬より、すでに地下鉄駅の通風機構を改良し、新鮮な空気の吸入を強化しているという。

■衛生署は、新たに2名の学童のSARS感染を確認。うち1校では午前校・午後校ともに、明日より1週間の臨時休校。一方の学校は衛生署と会議のうえ、決定する。

【3月25日】
■KCRC(九広鉄道会社)は、本日より九広鉄道(KCR)と軽鉄(LRT)の各駅で、無料のマスクを乗客に配布。期間はとりあえず5日間とし、毎日2万5千個用意。

■今日から授業再開した沙田の小学校では、朝礼で一堂に会するのは中止し、児童を直接教室に向かわせた。

■SARSに感染した医管局・何兆煒行政総裁は元気で、入院中に受けている治療の効果もよく、順調。感染の原因は不明。

■衛生署は、康泰旅行社の主催した北京5日間ツアー(3月中旬出発)の参加者39名とツアーガイドのうち、5名が香港へ戻ったのちSARSに感染していることを確認。ほかに6名がSARS感染の疑い。11名は入院中、経過良好。香港を出発する前に既に感染していた可能性も。

■キリスト教霊糧堂グループ傘下の幼稚園4園は、欠席の園児(注:保護者が通園を控えさせている<園児保護者から小生への直接情報)が多いため、26日より自主的に4週間の休園を決定。イースター休暇明けの4月22日より再開。

■25日、中国・北京の病院の待合室は、SARSの恐怖から診察を受けようとする人で混雑した。中国政府は、北京にはSARS感染はないとしているが、ある医療関係者は、北京で市外から来た2人がSARSで死亡した事を認めている。また別の医師は、北京に100人ほどの患者がいるかもしれないと言う。「私の聞いた限りでは、感染者の多くは医師と看護婦だ」。匿名のEメールも回覧されており、北京の4カ所の病院で、少なくとも12人が死んだという内容。(ロイター、北京発)

■衛生署・陳馮富珍署長は、今日新たに26人のSARS感染を確認した。ここまでで286人。

【3月26日】
■九龍・牛頭角(Ngau Tau Kok)のマンション群・淘大花園(Amoy Gardens)E座(Block-E)で5家族・14人の集団感染が発覚。

集団感染が発覚した棟では、引っ越しなど 棟を離れる人が続出 これが、さらに感染を拡大するきっかけに

■26日付の「サウスチャイナモーニングポスト」によると、香港でSARSを広げる原因となった第1号とされる、64歳の中山大学教授(死亡)は、中山大学で呼吸器系疾患を専門とする医師だった。

■衛生署・陳馮富珍署長は全市民に対し、3月15日に中国国際航空のCA112便で北京へ向かった人は、大至急衛生署まで連絡をと呼びかけた。また、康泰旅行社主催の北京ツアーに参加後、SARSが発症した人は、9名になったと発表。感染源は、ツアーが搭乗した飛行機に、香港を訪問した中国・北京住民が搭乗しており、うつされたのではないかと見ている。この男性は香港滞在期間、ウェールズ病院の院内感染源となった病室を訪ねており、北京に戻ってから2日目に発病している。3月15日に中国国際航空のCA112便で香港へ行き、ないしCA115で香港へ戻ったと思われる搭乗者約200名の行方を調べている。

■どひゃぁ~~!メトロポールホテル、9階部分を通常営業に戻すって…。(香港で最初の感染者が出たフロア)

■SARSで入院している医管局・何兆煒行政総裁は、公立病院は人手不足になっているから、緊急でない限り公立病院には来ないでほしいと市民に呼びかけた。十分な睡眠、バランスよい食事、運動が大事だとも語った。

■一家4人集団感染。3人家族+メイドの4人が揃ってSARSに感染。26日午前2時ごろ、一家で明愛病院へ赴き、SARS感染の疑いで、救急車でマーガレット病院へ収容。

香港大学が発見したウイルスは、豚などの家畜からのコロナウイルス。香港大学微生物学系が発見したコロナウイルス(冠状病毒)は、人間にも動物にも見られるありきたりのものであるが、今回SARS患者の体内から発見されたウイルスは、通常、豚に感染するタイプのもので、おそらくは変異により「宿主」がヒトになったウイルスが、人体にこれまでにない病状を起こさせるのだろうと見られている。香港大学では「ウイルスの遺伝子構造の解明は一刻を争う。なぜならウイルスの遺伝子は不安定で、どんどん変化していく。解明が遅れれば、そのときにはヒトからヒトへの伝染の過程で、変異しているかもしれない」とコメント。

■教統局・李国章局長は教師、学生ともにマスク着用を薦めた。政府は200万個のマスクを発注済み。必要なときに全香港の学校へ配布する。また、イースター休暇(4月18日~22日)の前倒しを検討中とも語った。

■香港政府は、SARSに対する新しい措置を発表。ある立法会議員は、政府の問題対処は後手後手で、受身すぎると非難。

■規画署は、沙田の政府合同庁舎に勤務する職員が1名、SARSに感染していることを発表。衛生署も、政府の一部の部署で感染者が出ていることを認めた。公務員事務局は各部門の代表を集め、肺炎講座を開き予防などを説明する。

■中国・広東省政府は2月末までに、省内では792件の正体不明の肺炎症例があり、そのうち31名の患者が死亡していたことをついに告白。スポークスマンによれば、症例の殆どは広州市で起きていたという。それぞれの死亡時期については説明を拒否。数日前の時点で、当局は昨年11月以来、広東省では305件の肺炎症例があり、5名が死んでいた、という内容を発表したばかり。これがSARSかどうかは説明なし。

■シンガポール衛生当局は、国内でSARS患者が1名死亡したと発表。シンガポールでのSARS死亡例は初めて。

■旅遊業議会は、飛行機でSARSに感染するのではないかとの不安から、ツアーのキャンセルが殺到と発表。総幹事の董耀中氏は、それぞれの旅行会社でツアー個別にキャンセルないし延期の措置を取っていると語った。

■中文大学医学部の女子学生1名がSARS感染。この女子学生が住む宿舎住人で歓送パーティーに出席した学生40名が一週間の通学差し止め、及び身体検査。全学の休校はなし。このニュースが流れた後、医学部でない学生達も不安を覚えて診療所に殺到。救急車が何台も出動する騒ぎとなり、学生9名がウェールズ病院へ送られ検査を受けることに。学生の一部は、家族にうつしたくないとの理由で帰宅拒否。他の学部の学生も、休校を希望。

■衛生署は26日、同日午後現在の感染者数を316人と発表した。このうち16人は、既に退院しているという。

ここへきて、あちあこちで「集団感染」が発生します。
とくに、淘大花園(Amoy Gardens)E座(Block-E)における集団感染は、SARS禍における最大の惨劇となります。

また、ツアー旅行での集団感染は、飛行機なんか恐ろしくて乗れやしないということになって、書き入れ時のイースター連休、旅行業界は惨憺たる事態になってしまいます。
一方で、治癒して退院する人も出て来ます。「みんな治ればいいねぇ」と、だれもが優しい人になっちゃたりしてました…。
というわけで、今日はこのあたりで。


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