【上方芸能な日々 落語&文楽】笑福亭たまの繁昌亭フレンドリー寄席*旧ブログ

落語
笑福亭たまの繁昌亭フレンドリー寄席
伝統芸能維新の会旗揚げ公演

あのね…。

あのね、こんなん絶対あきませんよ。

でもね…。

でもね、衝動に駆られるのよ…。

文楽を見に行ってて、床がくるりと回って、そこに鶴澤清丈がいたらね…。

あのね、彼ね、なにかしら笑いをこらえてるような目で、僕を見るのね…。

いやいや、実際は全然そんなわけなくって、もはやその世界に、義太夫を弾く世界に入ってるんですョ、実際には間違いなく。

そりゃ、友達なんかが「今日、行くわ~」って言ったら、「あいつ、どこに居てる?」って探すことはあるかもしらんけど、まあ、その程度で、僕を見つめて含み笑いしてるはずなんて、絶対あり得ませんから…。

ただ…。そんな「笑いこらえてるっぽい」表情の清丈くんを見るとね、

「笑かしたろか?」

って気持ちがふつふつと湧いてくるのね…。

いやいや、

絶対笑かしたらあきませんよ!

ただね…。でもね…。そういう気分になるのね、僕は…。
で、この日は、そんな清丈くんと相子くんに、

「もう腸捻転起こすからやめて~!」

ってくらいに笑かされてしまったのであります…。

「やられた!」

きっと彼は、いつも「笑かしたろか?」という表情で自分を見つめていた僕に、強烈な逆襲をしたのでしょう(笑)。
って思うくらい、もうめちゃくちゃにされてしまいましたのさ、僕は。

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なんと好戦的な情宣チラシでありましょう(笑)。
右上のイラストの人物は「君らに補助金は出しません!」って言うてますな(笑)。

このあたりは、会主のたまくんのセンスでしょうし、その企画に乗って来る相子と清丈もなかなかなもんです。

昔は、寄席で「色もん」として義太夫節がかかることもあったとは思いますが、平成の時代になって、それも何某の市長がチンプンカンプンな「古典芸能悪者論」をぶちまけている昨今のご時世において、こういう会が実現するのは、大変に痛快なことであります。

ほぼ満員の繁昌亭、いつも見かける落語通はもちろん、文楽劇場でよく見るお顔も多く、お客もコラボレーションしてるのが、またおもろい。

まあね、こちらが「あの人、やっぱり来てはるわ~」って思ってるように、その人も多分、僕を見つけて「お前、どこにでもおるな~」って思ってるかもしれませんがね。

<ネタ帳>
『寄合酒』  笑福亭喬介
『みかん屋』  笑福亭たま
素浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』刃傷松の廊下の段  竹本相子大夫・鶴澤清丈
『質屋芝居』  たま
中入り
「文楽解説」  相子大夫・清丈
「ショート浄瑠璃」  相子大夫・清丈、たま
『たまのムチャぶりに応える!』  床:相子、清丈 電脳操作:たま
『兄弟船』  たま

まずは開口一番、喬介の『寄合酒』から。彼は可愛らしい人物ですな。うろこを拭く擬音を「バリボリ、バリボリ」やなくて、「ベリバリボリ、ベリバリボリ」とやったのに好感もてました。

たま、最初のネタは『みかん屋』。「軽くさらっと」やらないのが彼のいいところ。また、この会の裏話などもおもしろおかしく。「ああ、やっぱりね~」みたいな話もあってね…。

素浄瑠璃は「松の廊下」で。昨年見た本舞台の光景が脳裡を駆け巡ります。
でね、やっぱり清丈が幕が上がったと同時に笑いをこらえてる表情なのよね(笑)。今日は多分、ほんまにこらえてたんやと思うわ…。

続いてたまの『質屋芝居』。先ほどの「松の廊下」やその後に続く「裏門」をネタに散りばめた、どちらかというと芝居好きな噺家の自己満足的なネタでありますが、スリリングな(笑)新作に興味の目が集まりがちな彼は、こういう芝居噺もきちんとこなします。所作も決まっていて、これは相当芝居見てるな~って感じ。下座から相子が声を被せるのも、本日の会ならではの贅沢。

中入りを挟んで、文楽の二人が軽く解説して、たま登場し、義太夫節によるショートネタを二つ三つ。
相子がベタな人物だっていうのは、風貌見たら匂ってくるし、ツイッター見てもひしひしと伝わってくるのですが、清丈がその相子を上回るかのような「ベタ」な人物だったのが、もうおかしくって。
やっぱり、あの「床がくるりと回った瞬間」の何かしらこらえているような表情は、嘘じゃなかったのか…と、僕の清丈の印象に間違いが無かったことを確認した次第(笑)。

そして本日のメーンイベント『たまのムチャぶりに応える』が始まります。
これは最初にたまが「今日の内容はここだけの秘密でっせ」と念を押していた通り、ブログでも中身は言えません(笑)。言えば、大変なことになってしまいます。あかんあかん、あんなんやったらあかん(笑)。

もうねぇ、抱腹絶倒とはこのことでありましょう。ここまで笑ったのは何年ぶり?ってくらいの内容でした。

「愛と正義の文楽」とでも言いますか…。もうこれ以上は勘弁して下さい(笑)。

個人的には、「最後の画像」が一印象深く、夢に出てきそうなほどの衝撃でした(笑)。

トリはたまで『兄弟船』。「さっきの文楽の後では、何やっても(あのおもしろさには)かないません」と言いつつ、結構おもろかった。たまらしい一席。
知らなかったけど、繁昌亭のトリは「上方の落語家が落語で締める」というルールがあるんですって! 奥さん、知ってはった?

もうねぇ、これは第2弾やってもらうしかありませんな!

今度は是非とも、文楽劇場で(笑)!

(平成25年1月28日 天満天神繁昌亭)


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