人形浄瑠璃文楽
平成二十五年初春公演
本年最初のエントリーは、人形浄瑠璃文楽から始まりますョ!
寒風吹きすさぶ中、と言いましても、小生は夏の暑いのよりは冬の寒い方が、まだ辛抱でけますので、どうということはありませんが、髪の毛や手指が乾燥してしまうのはイヤではありますわな…。
ま、そんなんはどうでもよろしい。
今公演から、竹本住大夫が復帰いたします。
昨年7月、軽度の脳梗塞で舞台を離れて以来、治療とリハビリに励まれ、見事、今公演より復帰ということで、初春から文楽界にとりましては、まことに晴れがましく心強いことであります。
その、住さんの復活第一弾は、新春らしく「寿式三番叟」の翁からということで、これまためでたい。
寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)
これはもう、住さんの復活に尽きるでしょう。
幕が開く前からすごい拍手の嵐でありますし、幕が開いてからもしばし拍手は鳴り止みません。拍手している我々は、もう「胸アツ」の絶頂にあるわけでして、「よくぞ戻って来て下さいました!」の一言に尽きますね。
声の出具合も「お師匠はん、ほんまに病気でしたんか?」と聞きたくなるくらいよく出ていたし、なんちゅうても、顔の「テカリ」が居並ぶ中堅若手と遜色ないのが、これまた喜ばしい。
人形さんについて、ひとつふたつ言いたいことがあるけど、ここは住師匠の復活に免じて控えておきますな(笑)。
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
■作者:竹田出雲、三好松洛、並木千柳合作 五段続き時代物
■初演:延享4年(1747)、大坂竹本座
*今公演「すしやの段」は三段目にあたる
「すしやの段」
『三番叟』は住さんに尽き、『すしや』は勘十郎の遣う「いがみの権太」に尽きるというところか。
これはほんと素晴らしかった。幕見でいいから何度でも足を運びたくなるような権太。強烈な説得力。玉女ら他の好演者の印象をかき消すほど。
床は、切*源大夫・藤蔵、奥*津駒大夫・寛治、後*文字久大夫・宗助。なかなか心憎い配置でありますが、いずれも三味線が際立っていた感あり。
源はんはまだ体調万全ではない模様。やっぱりしんどそう。一方で藤蔵はまたまたスケールアップしたという感じ。
津駒も悪くはないけど、寛治師がもはや神の領域。
文字久は心なしか声が枯れていたような気もするが、まずまず奮闘。
まあでも、千本桜はやっぱり通しで見たいね。初めて見る人には何が何やらわけわからんでしょ。全員がパンフレット買って「これまでのあらすじ」に目を通すわけじゃないからねぇ…。
増補大江山(ぞうほおおえやま)
■明治33年(1900)の『大江山酒呑童子』の「一条戻り橋の段」が元で、大正時代からは『増補大江山』として独立で上演
「戻り橋の段」
いつも美しいお姫さんがはまり役の清十郎だけど、前公演『忠臣蔵』では苦悩する勘平を好演。今回は娘役(若菜)実は悪鬼を遣う。清十郎さん、今公演はここしか出てこないけど、もっと見たいんですけど…。
悪鬼に転じてからの髪振りが凄技で、客席万雷の拍手。最後は…。
この場面の三味線が凄いですな、まるでヘビメタです(笑)。
こういう出し物は楽しいねぇ。筋書きも簡単明瞭。何某の市長も、最初に見た演目がこういうのだったら…(笑)。
さて今年は、竹本義太夫三百回忌であり文楽協会創立50周年の節目であります。
まあ、この際、文楽協会のことはどうでもいいんですが、竹本義太夫三百回忌に関しては疎かにはできますまい。
そんなわけで、技芸員による「三百回忌追善、墓石修復勧進公演」が下記のとおり開催されます。幕間にチケットを芸人さん自ら手売りしてましたが、この日で8割ほど席は埋まってましたよ。でもちょっと高いのでアタシは躊躇しています。
一応、墓石修復基金には志を差し出してはおきましたが…。
興味のある方は、早々にお問い合わせを。
ま、こんな感じで文楽を応援してゆきます、今年も相変わらずに。
(平成25年宵戎 日本橋国立文楽劇場)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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