【香港返還15周年あれやこれやと】*旧ブログ

「何某の市長」による文楽界への無理難題あれこれについて、ここ数日アップしてきたけど、もしかしたら「いつまで続くねん、うざいわ!」と思われてるかもしれないので、ここらでちょっと一息。まあ、書いてる本人も一息つきたいと思っていたので、ちょうどいいでしょう(笑)。
香港の英国統治が終焉し、中華人民共和国の「特別行政区」となって、ちょうど15年。ああ、早かった。
返還について、当時、香港にいた者、そして現在も「香港永久居留民」の身分証保持者である小生に聞いてくる人は、随分いらっしゃるわけですが、聞かれて一言、「ああ、早かった」。それ以外、言葉が見当たりません。
と言ってしまうと、そっけなく今日の稿も終わってしまうので、少しだけ話しておきますね。

その記念日は大方が御存じのように7月1日なわけでして、2日付の香港各紙は、それぞれの色を出しながらも、1日の記念日の行事の色々を報じています。
そんな中で小生が印象に残ったのは、この写真ですね。

1853622サメが出現!

そう、香港はたびたびサメが出現して、時に海水浴場にも侵入して来て

「遊泳者、サメに食われる!」

なんて事件も起きます。
もし、小生がまだあちらに在住してたら、きっとこのニュースが一番のヒットだと思いますね。毎週末、近所のビーチで泳いでいた身としては、デモに何万人が参加しようと、胡錦濤が何を言おうと、新しい行政長官のおっさんが中共の地下党員だろうと、そんなことよりもこっちの方が重要事項!
「香港で民主派が民主後退を懸念して大型デモ!市民40万が参加!」なんて具合に、日本でも報じられてますが、まあ、実際には「市民」はこんな感じですョ。(笑)

さあ、そのデモですが、主催者発表で40万人、警察発表で6万3千人、香港大学民意研究計画の調査で9万8千~11万2千人だそうで、まあ、世界中何処においても、「主催者発表数」が群を抜いているのは同じことのようですね(笑)。
過去の実体験や写真などから推察するに、8万人前後が妥当な人数かと思います。そりゃアナタ、主催者は沿道の見物人や通りすがり、渋滞で数珠つなぎのトラムの乗客あたりまで「参加者」とみなしているから、数十万にはなるでしょう、大体いつもそんな感じです。

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しかし、人数はどうでもいいです。胡錦濤が来港している中で、こうして堂々と「反政府活動」ができるのが素晴らしいじゃないですか、香港は。「50年不変」の大原則の下で、「高度自治」や「言論、集会の自由」が保障されている証しと言えましょう。何が不満なのでしょう??

え?そうじゃないだろ!って?

それ以外、どう、何を説明しろと…。
もちろん、このデモには色んなメッセージが込められています。それは充分に承知しています。
振り返るに、確かに返還からこの方15年、明らかに「中国の影」は濃くなっています。でも、思い出せば、1997年7月1日の返還の時、市民感情はおおむね、祖国への回帰を歓迎してたのですよ。まさかその頃の大陸は、英国統治下の香港よりも自由あふれる土地だと思っていた人はだれ一人いないでしょう、それでも歓迎したのですよ、この地が正真正銘の「中国」になることを。
立法会議場のバルコニーで土砂降りの雨に打たれながら、返還後の中央主導により勝手に決まった「臨時立法会」の不法性を訴えて抗議した当時の民主派議員を冷ややかに眺めていたではないですか!そこに何十万の人が集い、彼らとともに違法性を訴える声を上げましたか?上げてないでしょう。
0時0分のカウントダウンは熱狂の渦となり、大歓声が巻き起こったのを忘れはしません。もちろん、その時を静かに「なされるがまま」に過ごした人たちも、小生は何人も知ってはいますが…。
なのにいまさら「民主の後退を懸念」は無いと思いますがね、小生は…。

え?お前は15年も住んでいたクセに、
何も分かっていない!って?

はい、わからんです。正直言って。
だってそんな、あの国に返還されるわけだから、行く末なんてわかるじゃないですか。
返還当時、劉徳華(アンディ・ラウ)が『中国人』って歌を唄ってヒットしてたけど、今は「中国人」と呼ばれることを嫌う人が多いんだって。


「中国人と呼ばないで」 香港で「嫌中派」急増

【香港=河崎真澄】英国から中国に主権が返還されて15年が経過した香港で「中国の国民とは呼ばれたくない」と考える香港人が急増し、住民の意識に「中国離れ」が進んでいることが最新の世論調査で相次ぎ明らかになった。香港大学による6月の調査によると、「返還で中国国民になったことは誇りだ」と答えた香港市民は37%で、北京五輪があった2008年に比べ13ポイント下落。半面「誇りに思わない」は08年より10ポイント高い58%となった。……


コロコロと心変わりするんですよね、ここの人たち。ある意味同情はしますよ。本心は「中国人」でありたい人も多いと思いますが、今この時勢で「中国」には「夢も希望もない」わけですからね…。そんな背景もあってか、1日のデモではこんな光景も…。

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小生にとっても懐かしい英国領香港旗を打ち振りながらデモ行進する人たちもいたようです。なんか切ないですね、こういうのを見ると。決して住民が好んで「祖国回帰」したわけでもないのに。鄧小平とサッチャーが決めたことに翻弄され続けるんですからね…。
と、勝手に同情しても当の香港人のみなさんには「余計なお世話じゃ!」と言われるだけですから、これ以上言いませんが。

まあ、政治的にはこんな具合に悲哀も漂う香港ですが、帰国して2年以上たった今、やっぱり香港は仕事するにはとてもいい都市だと思います。
商習慣、制度、ビジネス支援体制、スピード感…。この点は閉塞感の極みにあるような日本、とりわけ大阪商圏では決して味わえないですね。この魅力だけは、「50年不変」はおろか「永久不変」であってほしいと願います。

1854054いくらなんでもこんなに散らかしちゃいけません!
「民主」と叫べば何でも許される…。
こんな風潮もどこかに感じるのが返還後の香港の危うさでもあり。

そしてこの民主派デモに見る「人民力量」は
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デモの度に言ってますがそのまま

「打倒日本軍国主義!」
「保衛釣魚台!」

にメッセージが変わることがあるのを、日本人は忘れてはなりません。
そしてそのときだけは、香港人のみなさんは一気に「中国人」になっちゃいますから、気が抜けません。
このへん、上手く使い分けるんですよね、まったくもう。

でも返還記念日と言えば、ぼくはやっぱり

コレデスネ!

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解放軍同士諸君が規律正しく行進するのを楽しみにしています!
ほんと、惚れ惚れするくらいかっこいいったらありゃしないんですから!


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