【六四関連あれこれと】*旧ブログ

今さらながらだけど、6月4日の天安門事件追悼集会について、ちょこっと。
毎年、同じことの繰り返しですがね(笑)。

もはや、この集会を現地で観察しなくなって2年が過ぎるので「絶対!」と言い切ることはできないのだが、やはり日本の報道は「香港の言論の自由度が後退している」という見方でしか書かれていないのが、なんともな~と思ってしまいます。

自分の皮膚感覚としては、決して、西側メディアが憂うほど自由度は後退してない、というのが実際のところ。

だってそうでしょ? でないと、主催者発表で15万人(警察推計7万7000人)が集う「限りなく反政府的」な集会が開けるわけないじゃないですか。

そればかりでなく、毎週のように大小様々なデモや抗議集会が開催されている。

もちろん、大半のメディアが過激な反共姿勢を控えた論調、中には返還前とは一転、掌返したように迎合したりしてる媒体もあるけど、根底にくすぶる「中央は信用ならない」という考えに変わりはないと思いますし、『蘋果日報』のように中央を目の敵のように書き、こうした民主化活動をまるで自社イベントのように扱う媒体だってあるんですから。

こんな反政府媒体ですら、香港では報道の自由が保障されているわけで…。

むしろ、香港や本土の民主化にとって「危険」と思われるのは、「90后」と言われる世代の思考かと。

「90后」、すなわち1990年以降に生まれた世代、日本流に言うなら「平成生まれ」。当然、1989年の天安門事件はリアルに知らないわけで、事件の再評価を中央に迫る旗振り役であるところの香港市民支援愛國民主運動聯合會(支連会)は、この世代を中心とした若い世代のオルグ活動に躍起である。

一定の成果を収めているのか、ここ10年くらいは追悼集会や抗議デモでは若い世代の参加者も目立つし、集会の壇上で演説やパフォーマンスを行う若者も増えているのは確か。

各大学では、「六四」を考えるサークルもあったりするようで、そういう集団の参加も目立ってきた。

ただ、彼らが「六四」をどの程度に理解してるのかは、残念ながらその世代との付き合いがなかったから不明。ってか、普通の香港人は普段は「六四」だの「民主化」だのについてほとんど語らないから…。

しかしながら、メディアのインタビューに登場する「90后」世代のあまりにも「純情まっすぐ」な瞳や言葉に「危険」を感じます。

もっと言えば「ひ弱さ」という危険。

恐らく彼らは、亡くなった司徒華氏ら支連會第一世代のように、事あれば人生のすべてを投げ打ってでも闘争するということはできないでしょう。

戦争も文革もそして「六四」も知らない世代に、それをしろというのもまた酷な話ではありますし。

???????????????????????????????時には「ファッション」としての民族主義に走る彼ら。この「怖さ」、中央にいいように使われないか?危ういと思うな。これは全世代に言えることかもしれないが…。(2008年の北京五輪聖火リレーで、香港島・灣仔にて筆者撮影)

そしてまさに事あったとき、彼らがどういう行動をとるのかは不明ですが、かつてのような大きな「民主のうねり」を起こすだけの信念も体験もありませんし、ましてや「昼行燈」を決め込んでるような一般市民は推して知るべしで、たちまち中央の「うねり」に飲み込まれるんでしょう。

ただ、そこに返還後の悲哀というものもあって、「基本法」なる一応香港の憲法みたいなのも、これまでに3回も(たった3回だけ?)中央政府に「解釈」を願い出てるという状況。自分たちの憲法を自分たちで解釈できないというのもどうしたもんだかねえ…。

中央からすると、「勝手に解釈しないでね」ということらしいから、仕方ないんだけど、そういうものを最初から負わされてしまっている返還の悲哀、「基本法」が成立した時点での市民の諦観…。

一見、悲観的な未来予想ですし、何の確証もありませんが、小生が生きているうちに、かつての「六四」のような政治風波というか「虐殺」が香港を巻き込むことはまずないでしょうから、現在進行形のような「経済」という手段で、中央は「生けみ殺しみ」ながら香港をうまく呑み込んでいくんでしょうね。

なんか、毎年同じようなわけわからんこと書いてるな、俺w。
でもまあそういうことは、香港は変わりなく、なんとかやってますよ、ってことでいいんじゃないですかね(笑)。

それにしても 追悼集会参加者15万人 って数字、どうよ?
同じ日に小生は甲子園で 阪神vs福岡ソフトバンク を観戦してたんですが、どう考えてもそっちの4万6000人の方が圧倒多数だと思う んですがねぇ。

さて、数字がてらで拾ってみたんですが。
「香港大学民意研究計画」って機関がありまして、定期的にあれやこれやと世論調査をしています。

日本もそうですが、香港の場合は日本以上にそれぞれのバイアスがかかりますから、メディアの発表する世論調査なんてほとんどあてにならない。

かといって、この機関の発表にはバイアスがまったくかかってないかと言えば、それもまたゼロではないでしょう。しかしながら、メディアに比べれば限りなくピュアに近い数字かと。

【1】10大政党・政治団体の評価(6月7日発表)
この世論調査の結果を見ると、民主派の評価が低下しているのがわかります。評価アップは親政府派の民主建港協進連盟(民建連)のみ。

調査は5月23~31日、約1000人を対象。

評価が最も高かったのは香港市民支援愛國民主運動聯合會(支連會)の51.7ポイントですが、前回(2月15~19日)の57.5ポイントから大きく低下。昨年11月の49.6ポイントに近づいており、司徒華・前主席の死去(今年1月)による危機感や弔いの気持ちによる「司徒華効果」も落ち着いた模様。民建連以外は総じてポイントが低下しており、財政予算案や最低賃金法の議論で評価を下げたという見方が強い。特に過激民主派の社会民主連線(社民連)は最下位で、評価は過去最低。
①支連会 51.7(▲5.8)*
②街工  51.0(▲1.8)*
③工聯會 50.4(▲2.1)
④職工盟 49.2(▲7.0)*
④公民党 49.2(▲4.1)*
⑥民協  48.3(▲0.2)*
⑦民主党 47.7(▲5.6)*
⑧民建連 46.7(+2.5)
⑨自由党 43.2(▲1.4)
⑩社民連 32.7(▲4.6)*
*は民主派
1位の支連会は政党ではなく、天安門事件の再評価を中共政府に要求する民主派超党派の組織なので、選挙に候補者を送り出すことはないから、実質、評価の一番高いのは街工ということになる。

 

【2】天安門事件関連調査(6月2日発表)調査期間は5月16~18日
天安門事件の再評価を支持すると答えた市民は57%で、昨年の61%からは低下。ただし18~29歳の若者では67%に達している。
①「平反六四=天安門事件再評価」支持率
・支持…57%
・不支持…20%
・わからない、どちらとも言えない…23%
②「平反六四」の年代別支持率
・18~29歳
支持…67%
不支持…14%
わからない、どちらとも言えない…19%
・30~49歳
支持…62%
不支持…20%
わからない、どちらとも言えない…18%
・50歳以上
支持…48%
不支持…22%
わからない、どちらとも言えない…29%
③天安門事件での学生らの行動は正しかったか
・正しかった…49.4%
・正しくなかった…14.5%
・わからない、どちらとも言えない…36.1%
④天安門事件での中国政府の措置は正しかったか
・正しかった…11.4%
・正しくなかった…65.5%
・わからない、どちらとも言えない…23.1%
⑤1989年当時と比べ中国の人権状況は好転してるか
・良くなった…54.8%
・変わりなし…25.7%
・悪くなった…13.7%
・わからない、どちらとも言えない…5.8%
*半数以上の人が中国の人権状況は「好転している」とみており、「悪くなった」と感じている人の3倍というこの事実!
⑥3年後、中国の人権状況は好転しているだろうか
・良くなっていると思う…40.2%
・変わってないと思う…31.5%
・悪くなってると思う…12.5%
・わからない、どちらとも言えない…15.9%
#参考1 香港の報道の自由について満足してるか
・満足している…67.5%
・まあまあ…18.0%
・わからない、どちらとも言えない…1.3%
#参考2 香港の言論の自由度を10点満点で評価すれば
・7.40

以上の数字を並べてみましたが、それほど危惧するような状況じゃないと思いますが。
項目によっては、返還前の方が絶望的な結果なものもありますし…。

まあ、西側メディアとしては返還報道で「港人治港、高度自治の原則が保たれるかどうかを見守る」と大見得切った以上は、「保たれていない」ことが望ましいんでしょうが…。

香港人としては「勝手に嘆いてれば?」というところかもよ。
———————————————————————————————–
COMMENT:
AUTHOR: アムゼルくん
DATE: 06/16/2011 04:18:48
鄧小平の目標は本土にいくつかの香港をつくり、そしてあわよくば、できるわけがありませんが、全シナの香港化を、というところにあったと思います。しかし中共独裁をやめるつもりはさらさらなかったでせうが。それにしても、目標としての香港がぽしゃってもらっては困るわけで、そのあたりの匙加減はうまくいった、いっている、というところでせうか?
—–
COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 06/17/2011 01:17:25
To アムゼルくんさん
匙加減…、まあ思ってた以上に上手くはいってるんでしょう。民主派の中にも中央とは「何が何でも反対!」でなく、「是々非々」の態度でという考えのグループも目立ってきていますから。
一方で、本土に幾つかの香港をつくる、という目標が危ういですね。今回の広州の暴動のような「勘違い的香港化」は今後も続出するでしょうし、そうなると香港人は大陸人と違い、他人の事に思いをはせるだけの「余裕」がありますから、六四の時みたいにそういう大陸の動きを支援したりするかもわからない。そんな不安を中共政府は今も抱いてるんでしょうか?


1件のコメント

コメントを残す