【上方芸能な日々 落語】月亭八天25日間連続50席ライブ19日目、千秋楽*旧ブログ

被災各地の惨状、国際的な心配事が刻々と報道されています。
危機管理能力のない政府や稚拙な経営者、真偽不確かな情報が不安を煽ります。
言いたいことは山ほどありますが、まあ、そういうのは落ち着いてからにしましょう。

さて、2月20日のトリイホールからスタートした月亭八天師匠の25日間連続50席ライブは3月16日、上方落語の殿堂「天満天神繁昌亭」で千秋楽を迎えました。
千秋楽では、上方屈指の大ネタ「地獄八景亡者戯」をかけ、サプライズゲストで大物が登場と、ファイナルにふさわしい高座が繰り広げられました。
できれば全25日間参加したかった(参加ってww)んですが、結局2日目と19日目と千秋楽の3回だけにとどまってしまいましたこと、ファンとして反省するところ大であります…。

月亭八天25日間連続50席ライブ
Happy Hatten Camp 25days

第19日目 雀のおやど(鶴橋)
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3月10日、そう地震の前夜。鶴橋は「雀のおやど」へ。
ここは、桂雀三郎師匠が開いている会場。一門の会が中心ですが、米朝一門はもちろん他の一門にも開放されており、鶴橋駅徒歩2、3分という大変便利な場所。
お座布敷き詰めて50人くらいが定員かな。そういう極めて密な空間に、この日も密なお客が集います。
終演後の挨拶で師匠も申されてましたが、「知ってる人ばっかりでw」と。それはお客も同様で、小生も知り合いや見たことある人ばかりという、ホンマに密な空間でした。

<ネタ帳>
『色事根問』   月亭八斗
『胴ぎり』    月亭八天
『黄金の大黒』  桂雀五郎
『茶屋迎い』   月亭八天

最前列の3人さんが非常にリアクションされる方でして(笑)。
そんな中、開口一番の八斗君、やりやすかったかやりにくかったか…。
「髪形」落語家として(笑)、おしゃれにも非常に気を使う彼ですが、他のお客さんとも話してたんですけど、なんやかや言いながら、落語家と言う雰囲気が出来上がってきてるね、と。そんな感じで若手の成長を感じるってのも、見てて楽しいですよね。

雀五郎君は、直にお会いすると非常に無口な男だというのは有名なんでありますが、高座は180度違いまして、たいへんよく響く「落語向き」の声をしており、耳当たりの良いハナシを聴かせてくれます。
八天師匠は、数日前に喉の調子を悪くしたようですが、それも快方に向かっているよう。でもちょっと声がかすれる場面もあり、心配、と思いきや、
「もうすぐ25日間が終わるのが惜しい、もう25日間やりたいくらい」
と意気高し。「好きな落語がやれて幸せ」とも。
本当に落語が好きな師匠であります。そういう気持ちが密な空間だけに余計にバシバシ伝わってくる二席でありました。

千秋楽 天満天神繁昌亭

いよいよ千秋楽。繁昌亭はほぼ満員。夜席の動員が今後の課題ともいえる繁昌亭だが、この日はいいお客さんが集う。ひとえに、師の25年の歩みがこのお客の層に現れていると思う。「通」のお客も多数。
<ネタ帳>
『子ほめ』      月亭天使
『地獄八景亡者戯』  月亭八天
仲入り
『みかん屋』     桂しん吉
サプライズゲスト
『あこがれの養老院』 桂文珍
『鬼の面』      月亭八天

まず登場の天使嬢。繁昌亭で働いて2年、その後、八天師匠に入門して1年1カ月、これが記念すべき繁昌亭デビューの高座。
和菓子屋から提供された商品(抽選の賞品に)にちなんでなぞかけ、これ秀逸でした。入門1年1カ月の進歩というのは、こういう場面(師匠の記念の会、それも千秋楽の開口一番、自分の繁昌亭デビュー)でも、そういう機転の利いたことができるという、いい意味での余裕を育むのだろう。ああ、この人も落語家の階段を着実に上っていってるなと思いました。

八天師匠の「地獄八景」は、これが2度目。最初は昨年秋の独演会で。
ご自身はどう感じてるかは別として、他のお客さんと話していて意見が一致したんですが、「今回の方が研ぎ澄まされてた」というのが小生の感想。
多分、自身では「ああすればよかった」とかが多々あるかもしれませんが、小生は、今回の「地獄」が八天スタイルの「地獄」の完成形に近づいたんじゃないかと思えました。もちろん、このネタには一種独特の魔力があって、やもすれば泥沼に陥ってしまいかねないので、次回はまたちょっと違う展開も考えられないこともあるやもしれませんが。
ハーモニカを使った場面なんぞは、師ならではの手法。
また次の「地獄」に期待が。

中入りはさんでしん吉君。わが愛すべき吉朝門下の鉄道オタクです。
彼も早くもデビュー13年とは…。好きな噺家さんですが、タイミング悪くなかなか遭遇する機会がなくて、3年ぶりでした(失礼しました!)。軽めの「みかん屋」で次なるサプライズゲストにつなぎます。

めくりが引っ込められ、注目の「大物」サプライズゲスト。出囃子「円馬囃子」で通のお客は「おお!」と感じ、本人が出て来ると多くのお客が「うぉ~!」と。そして八天師のブログなどで知らされてたお客は「待ってました!」と、様々な反応の中、登場したのが桂文珍師匠。
思えば、文珍師匠が香港へ独演会で来られた時に随行してた八天師、それから親交が深まったわけで、文珍師匠は小生と八天師のキューピット?みたいな(笑)。
少々の「毒」を交えながら、世界に客を「ひきずりこんでゆく」のはさすがの展開でして、これまた少々の「毒」が盛られた「あこがれの養老院」。
これ、きっと好き嫌い別れるネタなんだと思いますが、小生は好きですね。笑いにはほんの少し「毒」を盛ることも大事だと思うんです。そこんとこが、この師匠のずば抜けたところです。

トリの「鬼の面」は、やや時間が気になったのかもしれませんが、少しスピーディーな展開になったのかな?どうなんでしょう?
でも25日間50ネタの締めくくりに、小生の好きなネタが来たのは偶然にしても嬉しかったですね。

にしても。
25日間連続で50席やりぬくとは、大変な気力と体力を要しますね。
さらにネタ数の多い八天師匠のことですから、そこは問題ないかと言えば、そこはそれで他の出演者との兼ね合いなども自分でアレンジしながら、自分でプロモーションしていくんだから、噺家さんの会というのは、大変な労力を要すると言うのを改めて認識しました。
そういうすべてをひっくるめて、お疲れさまでした!と労いたいと思うのであります。

そしてもうひとつ、にしても。
ネタ聴きながらメモ取って、ブログにしてる人とかたまにいますけど、基本、芸のことは、会場出たらほとんど忘れてしまうタイプなんで、そういうのを期待して見に来てくれた人、すんませんね。落語に限らず、演劇も音楽も、その瞬間を楽しみたい!


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