【上方芸能な日々 文楽】文楽錦秋公演*旧ブログ

先週の話でえらいすんまへん。
帰港後、あれこれとありまして、ようやく落ち着いて文楽のことに触れられる状況に。

11月13日(金) 国立文楽劇場 第一部公演

『芦屋道満大内鑑』
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落語に『天神山』というのがあります。
狐狩りに遭っていた雌狐を救った男のもとに、人間の女に化けた雌狐が恩返しで嫁いできて…、というアレです。
落語みたく、あっけらかんとした話ではありませんが、『天神山』の元になってるのは『葛の葉子別れの段』でしょう。

やっぱりね、こういう「情」がふんだんに盛り込まれている段をじんわりと聞かせてくれるのは、嶋大夫をおいて他にはおりませんな。もう、聞き惚れるとは、この状態のことでして、人形の動きよりも嶋さんをじっと見つめるばかりでした。
『芦屋~』では、切場語りが嶋さんだけなんで、余計にその力量が際立ってましたね。言い換えれば、そのほかの大夫の実力不足が如実に表れる、という結果に。
三業の中で大夫陣の手薄感が、かなり切迫した状況ではないかと、危機感すら感じます。
そんな中で、健闘が光ったのは「保名物狂の段」で奥を語った津駒大夫。人間国宝・寛治と孫の寛太郎の三味線の援護?もあったからか、小生の中では津駒のイメージが一新しつつありますので、次回公演が楽しみです。

人形は、和生の安倍保名、清十郎の榊の前が出色。和生はいよいよ脂が乗ってきたようで、安定感が頼もしく、清十郎は襲名がやはり契機になったようで、今まで以上に「しゅっとした」人形遣いになっておりますね。
文雀さんの狐、葛の葉は予想以上に(失礼!)動きがなめらか~。

さて、落語も好きな小生が密かに楽しみしていたのが、「狐の言葉」。
たとえば、文枝師匠の『天神山』では、発言の最後に「…、こーん」とやって、狐の言葉に。
この日は嶋さん、さあ、どうやるかとワクワクしてますと…。
ま、そこはまだ公演期間中ですから、ご興味ある方はぜひともご観劇を!

なお『芦屋~」は、11月17日に天皇皇后両陛下もご観劇されました。ご一緒させていただきたかったわ~ん。
それにしても、客入りが悪いですな。4割埋まったかどうか…。
たまたま、金曜の11時開演というのがあかんかったのかと思いきや、他の人に聞きますと、曜日を問わず思わしくないと。
かなり見ごたえ、聞きごたえのある狂言(=演目)でっせ。
行ってみなはれって。


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