生まれて初めての五輪観戦を、この香港で経験しようとは…。
北京五輪大会8日目、馬術・障害飛越個人1次予選を、香港最大のニュータウン・沙田で観戦しました。
団地のど真ん中で煌々と燃え盛る聖火を見たときは、さすがに感動しました。
いろんな問題や騒動を世界中にもたらした聖火ですが、実物を目の前で見ると、やっぱり感動しますね。
馬術の会場は二つあり、この日観戦したのは、前述のとおり、団地のど真ん中にある沙田会場。沙田競馬場に隣接しています。
最寄り駅は火炭駅ですが、混雑を避けるため、入場時は一律、一駅広州側の大学駅で降車して、シャトルバスで会場へ向かうことになります。
さすが香港は大陸とは違うなと思うのは、こういう場面で決して押し合いへし合いの騒ぎが起きないこと。みんなおとなしく警察の指示に従って、バスに整列乗車しています。
数日前に日本からの来訪者をディズニーランドに案内した同行者の一人は、ディズニーランドでの大陸人の傍若無人ぶりに疲れ果てていたそうで、この整列乗車に、まずは感動したと。
厳密なボディーチェックを受け、いよいよ入場すると、飲み物や軽食を売るブースがあります。自分の座席で飲食できます。写真を見てお分かりのとおり、本当に、普通のニュータウンのど真ん中なんですよ。
我々は、バックスタンド(?)。鉄パイプ製のスタンドです。おそらく、大陸だと、こういう場合、崩れ落ちないか試合中も気が気でないと思うのですが、香港についてはそんな心配はまずありません。そしてこれが競技場(ほぼ)全景。
実際に馬に乗った選手の間では、「すごく手入れの行き届いた素晴らしいコース」だと、評判が高いようです。香港政府と香港ジョッキークラブの面目躍如でしょう。そう言われると、在住者としてもうれしいですね。
また、蒸し暑さが心配されていましたが、これも選手の間では「競技が早朝と夜なのでまったく気にならない」とのこと。そいつはよかった!
スタンド裏はこんな感じ。
行列こそできてはいましたが、トイレの数も十分足りていたと思います。
また、禁煙に厳しい香港ですが、世界中から人が集まることを考慮してか、喫煙スペースも確保されていました。
「Beijing 2008」と書かれた大きなシートを見ると、「おお!オリンピックに来ているんだぁ!」という実感が湧きます。
北京など大陸では、日本人の皆さん、選手も観客もずいぶん不愉快な思いをされているんでしょうが、香港はそんなことはまったくありませんでした。
って言うか、
最初から「香港五輪」でやればよかったのに、と無茶のひとつも言いたいですね。
全選手に惜しみない拍手が。
もちろん、香港選手や中国選手には一層の声援が飛びますが、それはまったく度を越えておらず、こちらも一緒に香港や中国の選手に拍手や声援を送ります。そういう気分にさせてくれます。
上の3点の競技の写真については、すみせん、どこの国の選手かわかりません。
うまくいかなかった選手退場時に、人間よりも馬がうなだれて元気なく引き上げてゆくのが、なんとも意地らしいなぁと、胸いっぱいになったりします。
競技終了後の「人さばき」の上手さは、香港の本領。なかなか日本でもこうはゆきません。
おそらく2万人ほどいたであろう観客がいっせいに、指示に従いザ~っと潮が引くように帰路に着く。導線の作り方の妙味を見せられましたね。
聖火リレーから開会式、応援マナーなどなど、「ちうごく」にとってはボロボロの北京五輪ですが、域外開催地で種目が完遂される香港は、まったく違う国の五輪を見ているような気分です。
それは前述したように、香港と大陸の民度の格差もあるでしょうし、香港にとってはある意味、一世一代の大仕事でもあるわけで、そこは特区政府、ジョッキークラブ、そして観戦に来た市民、ボランティアなどなどが、目いっぱいのことをやっているんだと思います。
本土側のあの無様な運営や「文明度」の低い観客に対して、この香港。
日ごろは香港を茶化しているワタクシですが、この日はなんだか香港がとても誇らしく思えました。
なお、この日は日本人選手が2名出場
杉谷泰造選手 減点0点で1位
佐藤英賢選手 減点1点で14位
と好発進です。注目です。
以上「はじめての五輪」体験記でした。
以下余談ながら、
飲食ブースでポップコーンとコーラを買ったとき、
大阪万博で同じものを買って、「ボクも世界に一歩踏み出したんだ!」、なんてバカな錯覚をしたときのことを思い出しましたよ…。
(平成20年8月15日 香港オリンピック馬術競技会場 沙田)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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