習近平国家副主席が精力的に香港を動き回っている今日この頃。公団団地なんかも訪問して、時ならぬ来客に住民たちは大興奮。
「慈悲深いお顔つきだ」「こんな辺鄙なところまで来ていただき、恐縮だ」「なんておやさしいお方なんだ」と好評。
その一方で、昨年12月の立法会港島区補欠選挙で当選した、元政務長官(特区ナンバー2)の陳方安生(アンソン・チャン)女史が6日(日)、9月の立法会選挙の不出馬を表明。
創業者のジミー・ライ氏が、前年の補選への出馬を促した経緯もあり、『蘋果日報』は此度の不出馬を、「悲しくてぇ~悲しくて、とてぇ~もやりきれなぁい」と。一方で、昨年9月の補選への出馬表明以来、陳方氏の出馬に疑問符を呈し続けていた経済紙『信報』は、「だかぁ~ら言ったじゃないのぉ~」と。
たしかに、この人が当選して立法会議員を務めたこの7ヶ月間、一体何をしてきたかと問われると、本人も答えに窮するだろう。民主派のデモに顔を出したくらいか。
汎民主派はこのおばんさんをして、香港民主活動の象徴としたかったんだろうけど、おばさん自身はとくに民主派でもないわけで、汎民主派としては口には出さないまでもかなり思惑はずれだったのかもしれないな。
去年の12月4日、すなわち選挙翌々日のエントリに記した『信報』の論説要旨を再掲してみる。
・断固として「2012年の全面普通選挙(行政長官、立法会)導入」を勝ち取るという汎民主派も、それ以外に有権者を動かすテーマがなく、ただひたすら「陳に一票を!」を連呼するだけ
・民主派の苦境は今回の選挙でさらに顕著になった ⇒ 「負ける要素のない候補者(陳方氏)」を擁立したのも、「民主の危機」という言い古されたメッセージ以外に何も持ち合わせていないから
・一般有権者は、「全面普通選挙」以外の部分で、民主派と対抗勢力の差を見出すのは、実際のところは困難だろう
・汎民主派挙げて陳方氏を支援したが、彼女一人の力量にも限りあり。香港の政界地図を刷新するようなことはなく、政局への影響力は微々たるものだろう
・何よりも、汎民主派がこれ以上ないメガトン級の候補者(陳方氏)を擁立した背景には、汎民主派には対抗勢力(親中派)に選挙で勝てるような人材がいないということだ
『信報』が「それみたことか」と言うのもわかる。
そもそもおばさんが当選したのは、対抗馬が親中政党・民建連が推す元保安局長の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)というおばさんだったから。レジーナ女史とて惨敗だったわけでなく、やはりそのときに小生が記したように、
「175,874票(陳)、137,550票(葉)と言う数字だけ見ると、「民主派の陳に親中派の葉が約3万8000票の差をつけられた」となるワケですが、『信報』の表現を借りれば「負ける要素のない候補者」「これ以上ないメガトン級候補者」として 陳を擁立したにもかかわらず、民主派は「わずか3万8000票しか差をつけることができなかった」というのが実際のところでしょう。ブッチ切りの勝利では なかったということですな。」
ってこと。
で、おばさんの不出馬により、香港島選挙区は混沌としてきたね。
民主派は若手を擁立してなんとか乗り切ろうとしているけど、民主派の顔たる李柱銘(マーティン・リー)も不出馬表明しているから、もはや打つ手無しという 状況。ようするに人材枯渇。9月の選挙では、親中政党・民建連とニュースタイルの民主派で中央との確執のない民主派政党「公民党」との争いになるだろう な。かつて一大勢力を誇った民主党は凋落する一方だろうな。
改めておばさんに問いたいのだけど、結局アナタの7ヶ月間の議員生活って何だったの?
ところで、香港永久居民のアタクシ、選挙人登録をさきほど済ませました。選挙管理局から登録受理のお知らせも来ましたんで、9月の立法会選挙、投票しますよ!
親中派、民主派関係ありません、人物と主張をよく吟味させていただきます。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。