「肥肥=おデブ」、「肥姐=デブネェ」の愛称で親しまれてきたタレントの沈殿霞(リディリア・シャム)が2月19日午前8時38分、入院先のクィーン・マリー病院で亡くなりました。享年62。2年前に肝臓がんが発覚して以来、闘病生活を送っていましたが、胆管がんも併発して、帰らぬ人に…。
その愛称どおり、ふくよかな体型と福福しい笑顔、けたたましい笑い声で、60年代から今日まで、香港一の人気者の 地位は不動のものでした。我々のような在住外国人でも「ああ、あの太ったおばさん」でわかるくらい存在感がありました。それだけにその死が香港社会にもた らす喪失感もまた、大きなものとなりました。曽権蔭(ドナルド・ツアン)行政長官ほか、多くの人が哀悼のメッセージを発表しています。
1945年上海生まれ。60年ショウブラザーズの映画で子役デビュー。以来、映画出演は100本以上。また長きに渡り、テレビ(TVB=香港無線電視台) で司会者として活躍。憎めない風貌と人柄で、「肥肥=おデブ」の愛称で年代に関係なく愛されてきた、こういう人のことを本当に「お茶の間の人気者」と言う んだな、という感じの人でした。
ドナルド長官ほか、皆さんコメントしてるのですが、肥肥の死は、香港芸能界のみならず香港社会全体にとってあまりにも大きすぎる損失である、と。たしかに…。
始まりがあれば終わりがあるのですが、95年にここでの生活を始めて以来、たくさんの芸能人が世を去りました。いずれも「香港がもっとも香港らしかった時代」-かなり抽象的で不明瞭な表現ですが-を象徴する人ばかり。鄧麗君(テレサ・テン)、羅文(ローマン)、張国栄(レスリー・チャン)、梅艶芳(アニタ・ムイ)、そして肥姐。謎の死を遂げたテレサ以外は壮絶な死でした。いずれも喪失感が大きくてねぇ。
昨今のエロ画像流出騒動に見られるように、なんだか香港芸能界もつまんない「ヤカラ」ばかりが目立ってしまって。香港社会全体がそんな感じで、ずいぶんとつまんない街に成り下がったなあ、と思う今日この頃です。
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COMMENT:
AUTHOR: 丸山光三
DATE: 02/20/2008 17:06:24
わたしが20数年前初めて香港に滞在したときはちょうど春節でした。TVの番組はお正月モード、そして彼女が写真のような真っ赤なチーパオを着てでてきてにっこり笑う風情は、いかにもお目出度い雰囲気で好ましいものでした。そのころの香港は、上海からきた「大圏仔」のごときわたしにはなんともリラックスできる雰囲気だったのが忘れられません。あのころの香港にまたいってみたいなあ・・・(と、遠くを見る目)。
肥肥の冥福を祈ります。
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COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 02/20/2008 19:23:32
To 丸幸亭老人さん
>あのころの香港にまたいってみたいなあ・・・(と、遠くを見る目)。
「経済日報」や「信報」など、いわゆる「八卦(野次馬)」でない新聞も社説や論評で死を悼んでましたが、70年代~80年代、香港人が額に汗して働き、夜、家族団らんで見た肥姐司会の「歓楽今宵」という娯楽番組…。あの時代からみると、今の香港のなんとすさんだことよ…。みたいな内容でした。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。