話題が飛び飛びになりますが、「田辺寄席」に続いて向かいましたのが、難波の大阪府立演芸資料館「ワッハ上方」に付設されております演芸の殿堂(?)「ワッハホール」。10月に香港で『親子酒』を好演された桂雀三郎師匠の独演会であります。我々上方の人間は親しみを込め、このお師匠はんを「雀(じゃく)さん」と呼びます。ご本人もそう呼んでくれと、HP上でもおっしゃてます。
「桂雀三郎独演会」 11月17日(土)ワッハホール
その雀さんとはご縁がありまして、香港の高座がはけました後に酒席を共にさせていただき、「今度独演会に寄せてもらいます」と。そんな経緯でちょこっと楽屋へもお邪魔しましたが、なにせかなりたちの悪い風邪(インフルエンザ、要するに“香港風邪”、トリ風邪ちゃうよ!)が癒えていない身。トローチ、喉スプレー、鼻紙が手放せない状態-こういう人がいるからおそらくインフルエンザは世界中で流行するんでしょうけど…。楽屋にウイルスが蔓延したら大変ですので、「どもども、この前はお疲れ様でした」で、楽屋からは早々に退散。
<ネタ帳>
『天狗さし』 桂雀太
珍品、といわれるネタのひとつでしょうか。鞍馬へ行って天狗を捕まえてすき焼きにしよう、などという奇想天外な噺。雀太クンは雀三郎師匠の三番弟子でまだまだ若いんですが、なかなか高座度胸が据わってるちゅーか、なんか将来を期待させるものがあります。
『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』 桂雀三郎
此度の独演会の目玉であります。いわずと知れました上方の大ネタのひとつで、長くやれば1時間半は優に超す長講でもあります。人によっては休憩挟んで前半後半に分けてやることもあるんやそうですが、大きく分けて三部構成のネタですよって、一気にやるほうが小生は好きです。古典ではありますが、時事ネタなどをからめやすいためか、人それぞれで独自のアレンジがかなり自由にできるため、それを入れすぎて長くなってしまうこともあるようです。今回の雀さんは、そこらをかなり抑えてはったように思います。結果としてほどよい時間に収まってましたけど、その分、もうちょっと「雀さんワールド」にひたりたかったかな、という気もしました。その割には、激しく咳き込みながらも今年1年分の馬鹿笑いをやってのけたような自分が…。
>中入り<
『ルンルン大奥絵巻』 桂あやめ
故文枝師匠門下。雀さんとはバンド関係のつながりで今回ゲスト出演。ちょいと喉の調子が悪かったようで、「もしかしたらさっき楽屋でうつしたかな??」とドキッとしてしまいます。大奥にヤンキーねーちゃんが輿入れしたらどないなことに…という展開。こういうネタはやっぱり女性ならではでして、それはそれでニンのいるネタと言えるやろうね。パンフレットによれば今年はデビュー25周年やとか。実は同い年なんです、なんかみんな出世してはるな~と…。
『悋気の独楽』 桂雀三郎
『地獄~』に比べると、こちらの方がやっぱり「雀さん」の世界を十分すぎるくらい堪能できました。もう、この辺は個人の趣味の問題なんでしょうけどね。船場の商家のやきもち妬きのご寮はん、何気に可愛らしいんですな、小生にとっては。これくらいやきもち妬いてもらえれば、男も本望ちゅうもんかと。総じて、落語に出てくるやきもち妬きの女性はおかしゅうて可愛らしい。
最初に書いた香港での酒席で雀さんが言うてはりました。
「このごろは、新人に大阪弁から教えなあきまへんねん。生まれも育ちも大阪の子にだっせ」
昔ながらの大阪弁が身についているのは、落語家でも雀さんらの世代が最後くらいだそうです。
テレビでいわゆる「お笑いタレント」が話す「関西弁」には、小生も以前より違和感を感じていましたし、大阪弁を誤解させる要因のひとつやと思ってました。「もっと丁寧に大切に扱ってくれよ」ってとこですね。
自分の生まれ育った土地の言葉、大事にしたいですね。
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COMMENT:
AUTHOR: khiroott
DATE: 12/09/2007 02:35:58
よう来てもろてるのに、今まで寄せてもらわんと失礼しました。
大阪弁の話、苦い思い出がいくつもあります。噺家さんとお付き
合いがあった時分に、何度も直されました。米朝師が夏時分によく
色紙に書いた「夏祭り だんじり囃子 鱧の皮」の「鱧の皮」
のアクセント、若い噺家は半分以上間違うてることでしょう。
うちの娘なんか、長池小学校行ってるくせに作文は東京弁で読み
よる。先生がそうせえ、言うてるらしい。おかしな言葉しゃべる
子供が増えました。
こないいうたら年寄りみたいですが、ことさらに古い言葉にこだ
わって生きていきたいと思います。
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COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 12/09/2007 04:12:35
To khiroottさん
>よう来てもろてるのに、今まで寄せてもらわんと失礼しました。
何をおっしゃいまして。ようこそお越し。
>「夏祭り だんじり囃子 鱧の皮」の「鱧の皮」
>のアクセント、若い噺家は半分以上間違うてることでしょう。
まして上司小剣なんぞ知りませんやろな。
>うちの娘なんか、長池小学校行ってるくせに作文は東京弁で読み
>よる。先生がそうせえ、言うてるらしい。おかしな言葉しゃべる
>子供が増えました。
私らの時分は、先生もきっつい大阪弁でしたけどね…。たま~に東京弁で教科書読む子おったら「イキリやな~」って。お隣の小学校ですけど。
>こないいうたら年寄りみたいですが、ことさらに古い言葉にこだ
>わって生きていきたいと思います。
そう思います。ここらへん(あ、実家のほうです)は昔からの地の人間が多いから、まだまだ古い言葉は通じますけど、それもあと数年かも…。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。