久しぶりに、多分、数年ぶりか?に、『東方日報』を買ったところ…。いやはや、世の中「こういうことになってるのか!」と驚くばかり。『蘋果日報』ばかり読んでいてはいけませんね~。
いま、世の中では、香港民主活動のリーダーである民主党の李柱銘(マーチン・リー)元主席が「売国奴!」「漢奸!」と罵詈雑言を浴びせかけられているではないですか!
事の次第は、かくの如し。
李柱銘と民主党の單仲偕・副主席らが過去2週間にわたってEU、英国、米国を歴訪。香港の政治の現状などを説明。
「はい、質問! なんでアンタがそんなことして回るわけ??」
これを香港では「唱衰香港=香港の悪口を行って回る」と表現し、返還前からすでに李氏の得意技となっていました。
なにかと欧米に出向いては「なんとか言ってくれよ~、中共に」とすがりつく行為を、彼は何度繰り返してきたことでしょう。
良くも悪くも英領時代の「エリート」の手法とでも言いますか。その都度小生は民主派の「無力さ」を感じているのですが。欧米で泣き言言っても始まらない、何の解決にもならないことを、一向に彼は学習しない。
さらに李柱銘は米国で10月17日の『ウォール・ストリート・ジャーナル』に「中国のオリンピックはチャンス」なる評論を寄稿。その内容が、ブッシュ大統領に、「北京五輪まで残された10ヶ月の間に中国に対して、報道や集会・信仰の自由を含む基本的人権の改善」を促すものであり、西側諸国の中国国内の内政問題への干渉や圧力を誘導する「売国行為」だ、というわけで集中砲火を浴びていると言う次第。
親中派議員はもとより、多くの市民も「お前は汪兆銘か!」「売国奴!」「漢奸!」「中国人民と香港市民に謝罪しろ!」「オリンピックを政治に利用するな!」などと激しく罵っております。
以上は、『蘋果日報』以外の新聞の報じ方。
では『蘋果日報』はどうか、と言えば、
わざわざ先週、それも米国で掲載された記事をいまごろ持ち出して突然大騒ぎするのは、来る区議会選挙(11月)、立法会香港島選挙区補欠選挙(12月)に向けた民主派への揺さぶりだ。
と、なります。
その『蘋果日報』の最大のライバル紙である『東方日報』は、『蘋果日報』の総帥である黎智英(ジミー・ライ)氏をも激しく非難しています。李氏と黎氏、さらには天主教の陳日君枢機卿を「三大お騒がせ屋」として非難。とくに黎氏については、自社媒体『蘋果日報』で市民をいたずらに扇動し、民主派デモへの参加をそそのかすなど、政治への関与が甚だしいと。たしかに拙ブログでもその都度指摘してきましたが、一連の民主派デモは『蘋果日報』主催のパレードのように見えますからね。
また『東方日報』は社説「正論」(ナゼこんなネーミングなんだ? 経済面は「産経」だし ワラ!。。。)で、李氏を最初に「売国奴」だと糾弾したのは『東方日報』だと自画自賛。それは1997年4月16日に遡るのだそうで…。どうでもいいけど、そんなのは。
こんな具合に、「四面楚歌」の民主派。ただ、それが現実かというと、そうでもないわけで…。
それはこの日の『東方日報』の「広告」を見ればよくわかるのですが、およそ10分冊、のべ120ページはあろうかという『東方日報』の半分近くが、香港最大のスーパーマーケットチェーン「パークンショップ」と同じくドラッグストア・チェーン「ワトソンズ」の広告。どちらもハチソングループであり、要するに長江実業集団の傘下。長江実業は香港大富豪の一人で親中財界人でもある李嘉誠がトップ。新聞が売れようが売れまいが、この広告だけで十分経営は成り立つでしょう。それくらいすごい分量ですよ。この広告の大量出稿を維持するには、これくらい民主派を叩かねば、たちまち経営に影響が出る、ということで、「香港市民あげての李叩き」というわけでもありません。
ただし、オリンピックを前に香港人がにわかに「愛国者」を気取り始めているこの時期。一皮剥けると、大陸人民よりも「愛国、愛港、愛中華」の気持ちが熱い人たちだけに、李氏の今回の「唱衰香港之旅」が民主派には逆風になるかもわかりません。
これも何度か書きましたが、元政府ナンバー2の陳方安生(アンソン・チャン)を「ちゅうごく」のたかだか一地方都市の議会、それも中央政府に何の力も作用しない仕組みなっている議会の「補欠選挙」ごときに担ぎ出さねばならぬほど、人材も方策も尽きている民主派ですから、「後がない」というのもまた事実。結局、欧米を回って「唱衰香港」して、「なんとかなりませんかね~」と泣きつくしか手立てはないのでしょうかね…。ほんとにそうならば(多分そうなんでしょうが)、香港で「民主」なんて幻想もいいところですね。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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