第8期の立法会議員を選出する立法会選挙が12月7日に実施された。90議席すべてを改選する換屆選舉(総選挙)で、同日23時30分に投票を終了した。特区政府は8日、立法会条例に基づき、行政長官が第8期立法会の開始日を2026年1月1日に指定し、第1回立法会議を1月7日の第1水曜日に開催すると発表した。

地區直選(地域別直接選挙枠)の累計投票率は31.9%で、前回より1.7ポイント上昇したものの、投票者数は131万7682人で、前回より3万2998人減少。4万1千票余りが白票などの無効票だった。
10選挙区のうち、新界西南の投票率が32.69%と最も高く、約15万4000人の登録有権者が投票した。また、新界東南と新界西北では累計投票率が32.64%となり、14万人を超える有権者が投票した。最低投票率は、新界東北の30.15%で、無効票率も10選挙区中で最も高い3.45%だった。新界東北では、投票日の12日前に大埔(Tai Po)の高層住宅群「宏福苑(Kwong Fuk Estate)」で、この数十年で最悪となった五級火災が発生しており、投票行動に少なからぬ影響を与えたものと思われる。

今回の選挙では、すべての直接選挙区において無効票が増加した。前回の立法会選挙では、無効票が2万7000票を超え、直接選挙の総投票数の2.03%を占めたが、今回、無効票が1万票以上増加した。行政会議召集人の葉劉淑儀(レジーナ・イップ)は、「一部の有権者は投票を強制されているという感覚を避けたいため、白票を投じた可能性がある」と述べた。香港經濟民生聯盟(経民連]主席の盧偉國(ロー・ワイクォッ)は、「無効票現象」について政府が後日関連する見解をまとめるではと見ている。下の表は、今回の選挙における各直接選挙区の無効票率と無効票数、無効票が目立った功能界別(業界別枠)のトップ5である。直選枠のみならず、業界枠でも無効票が目立ったことがわかる。
下の表「立法會歴屆無效票比率」は、『明報』がまとめた第1回立法会選挙から今回までの無効票率と無効票数の推移である。いや~、こういうのを翌日にささっと用意できるのは、『明報』しかないよね。って感心してる場合でなく、かつて1%未満だった無効票が、いまや3%を超えているのだから、ある意味、由々しき事態でしょ。特区政府はしっかり分析して、次回までに対策を練っておくべきだね。
選挙委員會界別(選挙委員会枠)では、有権者1466人のうち1458人が投票し、投票率は99.45%だった。功能界別(業界別枠)では、累計投票者数は76942人で、投票率は40.09%だった。商界(第三)と科技創新界(=科学技術イノベーション界)の有権者は全員投票したが、社會福利界の9.78%を筆頭に、無効票の多さが目立った。人大政協及全國性團體(=全人代、政協)、漁農界、飲食界はいずれも96%を超える投票率となった。そりゃもう、「全人代・政協枠で無効票続出!」なんてことなったら、香港だけの問題じゃなく、北京が震え上がるような国家存亡の危機ですもんね(笑)。
確定した90議席を政党別に見てみよう。
民主建港協進聯盟(民建連)は、1議席多い20議席を獲得し、引き続き立法会第一党の座を守った。ただし、今回の選挙では最大の勝利を収めるも、直選枠での得票数は前回比で約36%減少した。陳克勤(ゲイリー・チャン)主席は、一部の者が大埔火災を利用して民建連を中傷し、選挙結果に影響を与えたと指摘したけど、いや~、その言い訳はないわ~。犠牲者や被災者に失礼なんとちゃうかな…。
香港經濟民生聯盟(経民連)は8議席を獲得し、第二党を堅守。香港工會聯合會(工連会)は、前回同様の7議席を獲得。新民党は6議席から3議席に半減した。專業動力の方國珊(クリスティン・フォン=新界東南)が直選枠最多得票で初当選し、同党の1議席を死守した。続投を目指した現職議員54名のうち、50名が当選。一方で、直選枠で8人、業界枠で16人、選挙委員会枠で16人の計40名の新議員が選出され、総議員数の44.4%を占めることになり、「大換血=大幅な血の入れ替え」となった。
2008年の立法会選挙に初出馬して以来、5度の落選を経て、6度目の挑戦で初当選を果たした專業動力の方國珊は、開票所で17年間の選挙活動を振り返り、「すべての票が重要だ」と述べ、「奇跡は起こらない。積み重ねこそが成功への道だ」と付け加えた。さらに「大埔火災被災者の住宅再建支援を最優先課題としている」と語った。「哪吒(不屈の精神で知られる神話上の人物)」と呼ばれるだけあって、ほんと、執念の初当選や。

功能界別(業界別枠)16人の初当選者の中には、パリ五輪フェンシング女子エペの金メダリスト、江旻憓(ビビアン・コン)が旅遊界代表に選出された。縁も所縁もない旅行業界に突如として現れた典型的な「空降=落下傘候補」。対立候補の馬軼超(マルコ・マー)の23票を大きく引き離した。選挙前、江旻憓は経験不足を批判されていた。一方、馬軼超は現職の観塘区議会議員で、観光・テクノロジー企業の取締役を務めており、観光業界で27年の経験を持つ。現職の旅遊界議員で、中国旅行社(香港)の元会長である姚柏良(イウ・パクリョン)は、選挙委員会枠に鞍替えし、最終的に1397票を獲得し、選挙委員会枠でトップの得票数を獲得した。

江旻憓は当選後、用意していた当選スピーチを中国語と英語で読み上げた。旅遊界からの支援に感謝の意を表し、「観光は香港の四大産業の一つであり、政策推進者および社会との架け橋として積極的な役割を果たしていく」と決意を語った。当選後の最優先事項や批判への対応について記者から質問を受けたが、何も答えなかった。あんまりいじめんといたれや(笑)。それにしても、何故の「空降」なんだろう…。新人40人が全員そうだとは言わないけど、かくのごとく、議員としての資質に難のある新人さんは結構おりそうな気がする。大変やね、血の入れ替えというのも。
さて、ここから先は「Grok」と相談しながら書いていったので、少し文章が硬いかもしれないが、ご勘弁を。
今回の選挙は、2021年の選挙改革以降の2回目の立法会選挙で、親中派を含む「建制派(体制派)」の候補者がほぼ独占的に勝利を収め、投票率は約31.9%と前回の30.2%からわずかに上昇したものの、低水準にとどまった。建制派の政党が多くの議席を獲得したが、投票数の減少、白票など無効票の激増が見られ、Pyrrhic victory(犠牲の大きい勝利)との見方もある。
まあねえ、建制派なんぞは反論するだろうが、どっからどう見ても、この選挙は香港の政治制度が中央政府の影響下にあるのは動かし難い事実。候補者の事前審査が厳しく、民主派の参入はほとんど絶望的なため、「多様な意見の反映も限定的になってしまうやんかいさ」と、国際的な批判を招いている。なんでこういう選挙制度になったか…。そりゃもう、2019年~20年の暴力破壊行為が全てでしょ。国安法しかり。「海外へさっさと逃げた連中、責任とれよ!」と言いたいね!
とは言え、投票率の微増や多くの新人の登場は、一定の参加意欲の回復を表している可能性もある。ただ、全体として投票率は低く、市民の政治的無関心や不満の表れも感じる。香港の将来にとっては、経済安定と政治的緊張のバランスが鍵で、この結果がより調和的なガバナンスにつながることを願うものではあるけど、長期的に見て、国際的な信頼回復が課題やろうね。とにかく、選挙の透明性向上と市民参加の促進は、非常に重要。色々やり方はあると思う。

投票率は前回からわずかに上昇したけど、歴代2番目の低水準。実際の投票者数は前回より約3.3万人減少し、投票の意思を申告する「選挙人登録者」数も4年連続で減少(約413万人)している。この低投票率の主な要因を、複数の観点から分析すると以下のようになるかなと。
1. 完善(選挙制度改革)による政治的無力感とボイコット
2021年の選挙制度「完善」以降、候補者はすべて「愛国者」審査を通過した者のみで、民主派の参加が事実上排除されてしまった。選挙に競争や多様性がなくなり、多くの市民が「投票しても意味がない」と感じている。小生なんかは競争が消えたことによるワクワク感の欠如を強く感じている。過去には最大で約60%の得票を占めていた泛民主派支持層が、選挙をボイコットしているとも指摘されており、これが低投票率の根本原因なんだろう。ボイコットと言うよりも、この支持層が投票したいと思う政党も人物もないのだから仕方ない。公開的なボイコットや扇動は犯罪となるため、棄権や白票によって「沈黙の抗議」を行うということだろう。

2. 直前の大規模火災による民怨と喪失感
選挙の12日前に発生した大埔(Tai Po)の宏福苑における五級火災は、投票率に大きな影響を与えたのは言うまでもない。この火災は建物管理や政府対応の不備を露呈し、市民の怒りを呼び起こした。多くの住民が「政府や建制派議員を支持したくない」と棄権を表明しており、火災現場近くの住民インタビューでも同様の声が聞かれていた。選挙活動も中断され、全体に重い雰囲気が漂ったことも、投票意欲を削いだ要因だろう。とは言え、この大惨事がなかったとしても、選挙人登録者も投票率の低迷も、無効票の激増も起きていたと思うな…。

3. 有権者登録数の継続的な減少
登録有権者数は2021年のピーク(約447万人)から約34万人減少し、4年連続低下している。これは移民(特に2019~2020年の暴力破壊行動に起因)、高齢化、死亡、無関心による登録抹消などが背景にあり、潜在的な投票基盤自体が縮小していることを示しているわけだけど、これはもう仕方ない。移民した人数を補うくらい、大陸から流入もあるだろうし、高齢化や無関心は、香港だけの問題でもない。
4. 政府の積極的な投票促進策にもかかわらず…
特区政府は投票率向上に大規模なキャンペーンを展開した。投票時間の2時間延長、専用投票所設置、一部交通機関の無料、企業への半日休暇奨励、ポスターや感謝カード配布など。しかし、これらが効果を発揮しきれなかったのは、上記の構造的・感情的な要因が強かったためだろう。「満足しているから投票しない」という解釈もあるにはあるが、海外メディアは、主に不満の表れと見ている。
全体として、この低投票率は、香港市民の政治的信頼の低下を反映しており、建制派の圧勝とは対照的に、市民の沈黙の不満を示すものと言える。将来的には景気回復などの実務的対応が投票意欲回復のカギになるとは思うが、実質的な民主派への政治門戸の開放など、制度的な多様性回復がなければ、低迷が続くだろうね。
ま、野次馬根性丸出しで香港を観察してきた小生からすると、ホンマ、ワクワク感のない、面白みのない選挙だった。民主派の過激人士は選挙には欠かせないと痛感することしきりである。

下図は『明報』作成の「数字で見る2025立法会選挙」。ダラダラと書いてきたことを、あっさりと図表にまとめている(笑)。さっすが『明報』。恐れ入りました!
ついでに当選者の皆さんも並べておきます。誰かわからんと思うけど(笑)。



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在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。




