【上方芸能な日々 文楽】文楽鑑賞教室

人形浄瑠璃文楽
文楽鑑賞教室

昨年はCOVID-19の感染拡大を受けての公演中止。今年も緊急事態宣言下にあるため、どうかな?と危惧していたが、「土日のみ公演中止」ということで平日はセーフ。しかしながら、外国人向けの「Discover Bunraku」は二年連続で中止となってしまった。「あれはいいが、これはダメ」とややこしいご時世だが、なんとか平日に時間を作って、二年ぶりの「鑑賞教室」に行ってきた。

小生は朝がとにかく弱いので、午後の部を選択するのが基本なんだが、チケット購入の際に確認ミスで午前の部に…。開演時間はなんと午前10時30分。9時40分に家を出れば余裕なんだが、朝が弱いということはそれができないということである(笑)。なんとか開演5分前には席に着けた。前方に客がいないのは、小生の席より前は飛沫防止のため販売されていないから。

五条橋

牛若丸 芳穂 弁慶 南都 亘 碩
清丈 友之助 清公 燕二郎 清方

基本的には若手主体のメンツで中堅どころがヘルプするというラインナップになる。そういう意味では、芳穂、南都はヘルプする側というところ。人形は牛若丸に蓑紫郎、弁慶が文哉。

一番若い碩太夫と清方に耳を傾けてみる。どちらも健闘していたが埋没気味。まあそこはね。蓑紫郎の端正な牛若丸が印象的。文哉はもっと武骨でいいと思う。

解説 文楽へようこそ

太夫解説を靖、三味線を寛太郎。人形は玉誉が休演につき、代役で玉翔。彼は今年で解説を卒業らしい。なので「思い切りしゃべったろ」と思っていたらしいが、もっとしゃべりまくったらよかったのに(笑)。左を玉彦、足を玉延がお手伝い。

卅三間堂棟由来 さんじゅうさんげんどうむなきのゆらい

「平太郎住家より木遣り音頭の段」

 睦 勝平
 藤 宗助

鑑賞教室の定番演目「柳」。床が結構よい感じで進む。睦は勝平に引っ張られ藤太夫はんは宗助はんとの押したり引いたりの関係が良い。人形は清十郎はんの柳と玉路のみどり丸がよかった。木遣り人足のツメ人形陣もわざとらしい動きもなく、ちょうどいい。

◆◆◆

って感じで、いまさら「教室」で教えてもらうこともないのだけど、本公演よりも廉価だし、若手中心でやる舞台だしって感じで気楽な感じで見物するのに手頃な舞台というところ。なのでアラさがしもしないし、逆に心を打たれるという場面にも出くわさない。もう、卒業してもいいのかなという「鑑賞教室」。

小生個人としてはそうなんだが、本来、客席を埋めているはずの学校の芸能鑑賞で観に来る学生、生徒の姿がない。至れり尽くせりの「筋書まんが」を掲載したパンフを用意して舞台を開けても、ターゲットとする層がこの時世では簡単に足を運べないのがとても残念だ。二年連続して、文楽に触れる機会を奪われてしまった子たちがいるということだ。来年こそは「鑑賞教室」の本来の光景が戻って来ることを祈るのみである。

(令和3年6月4日 日本橋国立文楽劇場)


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