<アイキャッチ:好天に恵まれ国旗、特区旗の掲揚が行われた。昨年は厳戒態勢の中、要人は屋内で掲揚を見たが、今年は目の前で見ることが叶った。「国家安全法」の威力か?(香港電台)>
昨年の荒れに荒れた7月1日から1年が経過した。「平和的なデモ隊」とは別行動の黒い暴力示威集団に立法会ビルが襲撃された。議会場も一時占拠されてビル内もめちゃくちゃにされた。あの日から1年。今年も少々荒れたが、何分、「平和的デモ」に許可が下りなかったことで、集結した人数も現地メディアをざっと見たところ、数千人ということだった。しかし、たとえ数千人でも許可されなかった「不法集会」に参集した時点で、アウトだ。世の中いつまでも甘い顔は見せていない。香港時間で午後10時までに最年少者15歳を含む約370人が警察に連行されている。で、この日から逮捕者カウントに新たに「うち、10人が香港国家安全維持法の違反」という項目が加わった。
前日、全人代常務委員会は、香港に導入する「香港国家安全維持法=国安法」を全会一致で可決した。これを受けて、小生はTwitterに下記の書き込みをした。
満場一致です。
「光復香港、時代革命」に対する中央の回答です。自分らの行いを振り返れば、この日が来るのは、想像に難くないはずでしょ。
昨年来、毎日のように叫ばれてきた「光復香港、時代革命」のスローガンだが、この法制定は中央政府としての「光復香港」(さすがに「革命」を禁じる法で「時代革命」はないww)なのかもしれない。ま、今後、デモでこれを叫んだりフラッグを上げると、恐らくは国安法により逮捕されると思うけど…。
色んなものの見方があるのは当然で、このTweetを到底受け入れることができない人もいるだろう。そして「そうだ!その通りだ!」と拍手をくれる人もいるだろう。もはや慣れっこだが、すぐに「五毛だ!」やの「中共の工作員め!」やのと言われる(笑)。拙ブログ自体が昨年来、「五毛の工作員」によるものとされているらしいので、どってことないが、小生、五毛どころか一銭も中共からいただいていない。くれるならくれ、でも小生の原稿料は基本的に高いよ、と(笑)。
それはさておき。
小生のTweetが国安法制定のすべてとまではいかないが、7割くらい(甘いか?w)は語っているのではないか。拙ブログでこの1年、あれこれと書き綴ってきたので「何がどーしたこーした」と一々ここでは記すことはしないが、少なくとも小生はそう感じたし、国安法の中身を読んでみると、この1年、暴力示威集団が繰り広げてきた悪事の数々について、最高で終身刑という非常に重い刑罰が下されることになるのがわかる。勝手な想像だが、7月1日の不法デモ逮捕者約370人で国安法違反による10人以外の逮捕者の中からも、捜査段階で同法違反とみなされてしまうケースも出てくるかもしれないな。
日本をはじめ、海外メディアは一斉に「香港は死んだ」「香港は終わった」「一国二制度の終焉」などと香港を悲劇の舞台に仕立て上げるが、この1年、破壊、放火、暴力、交通妨害、殺人行為などに憤りを感じ、怯えながら生活してきた「その他大勢」の香港市民のことには一切触れていないのはあまりにもアンフェアだ。日本のメディアで、意見の違いで血まみれにされた人を取材したところがあったか? 全身火だるまにされ重い後遺症を負った人の話を聞いたメディアがあったか? それをすれば簡単に「死んだ」の「終わった」のと言えないはずだ。何よりも、大事な香港を勝手に殺すな、終わらせるな。香港は今日も明日もずっと香港のままだ。7月1日付の『産経新聞』(東京本社版)の1面なんて噴飯ものだ。何をポエムに浸ってんねんと(笑)。書いてて恥ずかしくならなかったのか?
「一国二制度の終焉」という言い方もあまりにも「二制度」だけを重視した西側視点すぎる。確かに、今回の法制定は超法規的と言うか、一足飛びと言うか、しかるべき段取り、手続きを踏まえておらず、この点は大いに問題があると思う。しかし、まずそうなった背景を知ってもらいたい。こうなる前に、この23年間に香港には香港による香港の実情に即した「安全法」の立法化の機会は何度もあった。それをことごとく阻止したのは伝統的民主派だ。一方で、民主派の反対にめげずに推し進めなかった香港特区政府の責任も大きい。で、事ここに至ったのだ。そこに切り込んだメディアはあったのか?
「一国」の中の「二制度」という中国政府的視点に立つと、西側諸国からの批判はまさに内政干渉以外の何物でもなく、「君ら、何を頓珍漢なこと言ってるの?」というもんで聞く耳は持たないだろう。こうして現実に施行されたのだから。香港市民は、そんな中でもしたたかに知恵を絞って、うまく国安法と渡り合ってゆくだろう。それを「死んだ」「終わった」と簡単に言うな。
ここ数年、香港のデモで行進する人たちを見ると、英領時代の残り香を求めてさ迷い歩く人たちに見えてしまう。実際、「民主」はそのものだろう。暴力示威集団の連中は、英領時代の香りすら知らない。これまでの23年間は英領時代の残り香にすがってきた時間。2020年7月1日から、いよいよ本当の中華人民共和国香港特別行政区としての「一国二制度」が始まった。そう感じた23年目の返還記念日。
<ご参考> 「中華人民共和國香港特別行政區維護国家安全法」全文(下記URLからPDFを見られます。めっちゃ長い全文中文、悪しからず)
https://www.gld.gov.hk/egazette/pdf/20202444e/cs220202444136.pdf
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。