【睇戲】『ホワイト・バレット』(港題=三人行) 

『ホワイト・バレット』
(港題=三人行) 

監督・杜琪峰(ジョニー・トー)、主演・古天樂(ルイス・クー)。香港映画において、いまや鉄壁のコンビ。ま、ヒットするよな。それを裏付けるかのごとく、台湾の金馬獎(2016年度)では、最優秀監督賞と最優秀映画音楽賞を獲得。来る香港電影金像獎では、2部門にノミネート。第23屆香港電影評論學會大獎では、最優秀作品賞と最優秀監督賞を獲得している。ということで、映画人からも高い評価を受けている作品。ま、そういう意味では今作も安心してスクリーンに向かい合うことができるだろうということで、あとは「なんかおもろいことやってくれ」ってところだ。さて果たして…。

「睇戲」と書いて「たいへい」。広東語で、映画を見ること。

three2016-4-b港題 『三人行』
英題
 『THREE』

邦題 『ホワイト・バレット』
製作年 2016年
製作国 香港・中国合作
言語 広東語*大陸公開時標準中国語吹き替え

評価 ★★★☆(★5つで満点 ☆は0.5点)

導演(監督):杜琪峰(ジョニー・トー)

領銜主演(主演):古天樂(ルイス・クー)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)、鍾漢良(ウォレス・チョン)

主演(主なキャスト):盧海鵬(ロー・ホイパン)、林雪(ラム・シュー)、張兆輝(エディ・チョン)、龔慈恩(ミミ・コン)、洪天明(ティミー・ハン)、謝天華(マイケル・ツェ)、黃浩然(レイモンド・ウォン)、王梓軒(ジョナサン・ウォン)、歐錦棠(ステファン・アウ)、朱健鈞(ミッキー・チュウ)、他

◆以下、ネタバレの可能性大いにアリ。気に入らない人はスルー願いたし!◆

【甘口評】
病院もの、刑事もの、爆発と派手な撃ち合いと、香港映画の王道は、さすが杜琪峰作品。展開に隙はなく、グイグイと観る者を引っ張っていってくれる。俳優陣もそれぞれが持ち場をよくわきまえた演技で観客の期待に応えてくれる。

テレビの痛快時代劇『環珠格格』や周星馳と共演した『少林足球』のイメージは今ではまったく払拭され、すっかり大人の女優になった趙薇が心揺れ動く脳神経外科医を好演。

久々に見た、かつてのアイドル歌手・鍾漢良演じる犯人が、ここぞの場面で語る哲学者的な「立て弁」が、古天樂演じる主役刑事の神経を逆撫でしていたが、こちらまで神経を逆なでされたような気分にさせてくれたのはよかった。盧海鵬、林雪ら脇役ベテラン陣も存在感抜群。

およそ10分間に及ぶ「アクションシークエンス」は圧巻。撃ち合いや爆発シーンで人が吹っ飛び、血まみれになるのは杜琪峰作品ではおなじみだが、大陸での公開が前提とあっては、それらはかなり制限されてしまう。ならば、というわけでもないだろうが、本作品、最大の見せ場として強く印象に残る。

全体として「チーム・杜琪峰」という感じで、キャストはもちろん、現場撮影スタッフも含めてチームワークの良さを感じる作品だった。

【辛口評】
ほとんど重箱の隅をつつくような「辛口」だが、精神病患者役の盧海鵬の演技はさすがベテランというものだったが、色々なカギを集めて回って、ときに引き出しや戸棚を施錠してからカギを抜き取るという場面がいくつかあったが、結局それがその後の展開にどんな影響を及ぼしたのか、いまひとつ不明だった。何の意味があったのだろうか? また、6か月以上も入院しているゲーム狂の入院患者・洪天明は必要だったのかという疑問も残るが、彼の場合はいわゆる「大人の事情」ってやつか?

《三人行》終極預告

(平成29年2月6日 布施ラインシネマ)



 


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