ただでさえ華やかでウキウキ気分になる初芝居だが、今年はさらに華やかさが増し、いつもに増してご見物の数も多し。大阪に「中村鴈治郎」が帰って来た。
松竹座の前には大きな看板がしつらえられて襲名を告げる。観劇しない人も歌舞伎に興味のない人も思わずこの前で記念撮影したくなる。
そりゃそうだ。公演名も色づかいも、なんだかとても縁起がよさそうな雰囲気を醸し出しているから、記念撮影したくなるのも頷ける。
劇場内にも大きなパネル。この顔で迎えられると、「今年はエエ年になりそうでんな~」という気分になってくるから、やっぱり歌舞伎役者は顔が大事だ。
祝い幕をぽ~んと寄贈したダイキン工業。これほどの広告・宣伝はないね。元日の新聞各紙に一枠数万円だか数十万円だかで「名刺広告」出すより、何千万円かかってもこの幕を寄贈する方がよっぽど「生きガネ」ですわな…。などと、広告業界の端くれに小指一本でぶら下がっているというアクロバティックな生活をしている小生は、物事を広告視線でとらえる悪い癖…。
その祝い幕、実物はこちら。例によって三階席の後ろの方から見物。一番お値段のお安い席が文楽の一番お高い席と同じ金額なんやから、歌舞伎というか松竹もがめつい商売してはる。
で、今回。偶然にもお隣のおじさんが大向こうさんで、これが何十年も歌舞伎観て来て初めてのこと。どのタイミングで声かけるのか? どんな人たちなのか? まさに「声はすれども姿は見えず」な存在だっただけに、けっこう嬉しい。「成駒屋!」も「山城屋!」も「松嶋屋!」もどれもこれもが「ぃ屋~」とか「ぅわぁ屋!」にしか聞えないのだが、横に居るとわかったけど、きちんと「ナントカ屋!」って言ってるんだと(笑)。この人はまだベテランの域には達していないのか、声がかなり小さかったけど、すんごく遠くの席の人がめっさでかい声で、かつよく通る声だったので、隣の人、これからもご精進ください(笑)。
えらいもんで、こういう人の横に座ると、いくつかの場面で「いよっ!」とか声が出てしまうのよね(笑)。つまりそれは、現代の若人による「キターーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!」って場面ね。多分こういう経験を重ねて行くうちにいつの間にか「ナントカ屋!」って小声で言えるようになり、数年後には「松嶋屋!」ってよく通る声で言えるようになるのかな…。いやいやいや、俺はやっぱりヘタレだから一生無理だな(笑)。役者も修業の連続、見物衆も修業の連続。芝居を心底から楽しむには、それなりの時間がかかるということだ。
と、ウダ話が続いてしまったので、肝心の襲名披露公演の中身については、次回のお楽しみにと言うことで、本日これまでまた次回!
(平成27年1月18日 道頓堀大阪松竹座)
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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