10年前のSARS蔓延について、主に香港ではどうであったかを、当時の在住者の視点で振り返った長~~~~~~~いシリーズも、今回で終了としますね。うれしいでしょ(笑)。
最後は、爆発的感染源となった淘大花園(アモイガーデン)の感染メカニズムを日刊紙『蘋果日報』が掲載していましたので、それをアップしておきます。
言うなれば、あの爆発的な感染の拡大は、香港の多くのマンションが抱える構造的欠陥が原因だったということでしょう。
*めっちゃ大きい画像すぎて、逆に見えにくくなってしまいましたが…。
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「淘大花園SARS爆発感染 考えられる4つの原因」 資料:香港特別行政区政府衛生福利及食物局
①感染者が排泄した、大量にウイルスを含んだ排便がU字型汚水管内部で凝固し、乾燥。同室の住民が浴室=便所の扉を閉めて換気扇を使用することで、ウイルスを含んだ汚水の小さな水滴が排水口から浴室=便所に侵入し、タオルなどに付着、住民に感染する。(感染過程 図解中A、B、C)
②エレベーターや階段など、ビルの設備を経由して、人から人へ感染
③ビルを取り巻く環境の汚染。駐車場、ゴミ捨て場、ビル内の飲食店などで、ウイルスを持ったネズミやゴキブリがウイルスを拡散
④ブロックEの4階(日本式では5階)付近の配水管に亀裂箇所あり。浴室=便所使用時に、ウイルスを含んだ汚水の水滴が、7、8号室間の空間で生み出される「煙突効果」により上昇し、水滴は霧状になって縦横に拡散。わずかな風が吹けば数分間で最上階にまで到達
A 入浴時に、扉を閉めて換気扇を使用すると、浴室内の気圧が下がり、浴室床面の排水口からウイルスを含んだ水滴が浴室内に侵入し、浴室の物の表面に付着する
B 換気扇が汚染された水滴を吸い上げる
C 汚染された水滴が窓から他の部屋に侵入
4月下旬には、ついに中国側が自ら隠蔽のベールを剥ぎ、香港どころの状況ではないことが明らかになり、世界の眼は香港から中国、とりわけ感染者数が莫大であった北京に向けられることになります。
今回のシリーズは、香港の事を中心にして綴ってきましたが、時折は中国のことにも触れていましたので、中国の状況についても、おおよその流れはわかってもらえたかもしれません。
「全港全民抗肺炎!」
のキャッチフレーズの下、香港全体はとにかくSARSと闘いました。それは事実です。そして、このSARSを機に、香港は見違えるように清潔になったのも事実です。その激変ぶりは、アタシに言わせれば、香港返還以上の変わりようでした。一方で、こういうのは、結局は住民一人一人の意識に頼らざるを得ない部分が大きいと思っています。
今後、世界のどこでこの時と同じようなことが起きるかわかりませんが、少なくともあの時、香港であの状況に身を置いていた人間なら、その事態におい て、まず自分はどうするべきかを学習したはずだと思います。まあ、拙ブログはその時には何の役にも 立たないとは思いますが(笑)、やってる本人は、忘れていたことなども思い出して、自己満足に浸っております(笑)。
何度も申しましたように、SARSによって香港経済は未曽有の大打撃を受けました。「ありがたい」ことに中央政府は、香港経済復興の切り札として、本土住民の香港自由旅行を解禁してくれました。驚くような大金を香港にばらまく彼らの出現で、香港経済はあっという間に回復したわけですが、現在、香港が抱える 問題は、そんな彼らがあまりにも大金をばらまき、やりたい放題するために、香港人の生活を守れなくなりつつあるということです。この点については、今後、 観察してゆきたいと思っています。
以上、長~~~~~~~い「SARS回顧10年」の駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
ではでは。
もうSARSはごめんだ!
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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