人形浄瑠璃文楽
平成二十四年十一月公演 通し狂言 仮名手本忠臣蔵
待望の通し狂言「仮名手本忠臣蔵」が、11月3日から文楽劇場で始まった。
今年の文楽は「補助金を出す、出さん」で、何某の市長の発言に翻弄されまくった1年だったが、その波乱の年を締めくくるにふさわしい、そして今の文楽座の技量を問われる大作が公演されるのは、非常に意味のあることだと思う。
小生自身も久々の忠臣蔵。このところの文楽公演は、上演時間や観客の気質の変化などを考慮してか、「見取り」として、長編ものの「いいとこ」をつまみ食いのように上演することが多く、なかなか「通し狂言」を丸一日かけて上演する機会が減っている。
これはたとえば、家庭でDVDなどを早送りしながら見たり、全編を見ずに名場面だけを見るようなもので、そういう生活習慣が出来上がってしまっている現代人に見せる、あるいは「すそ野を広げる」という点では、いたしかたないことかもわからないが、普段、文楽劇場で観劇していて、欲求不満に陥るのは、やはり「全編通しで、この作品見たい!」という点に尽きる。
そして、忠臣蔵はそのような「見取り」を観たとしても、消化不良になるような筋立てになっている。
丸一日、昼夜の入れ替え時間もわずか30分だから、演じる方も裏方も観客も、相当気合を入れなければならない。しかし、それだけの価値がある作品なのは言うまでもない。
その証しか、とにかく昼の部の観客動員は、ここまでのところ絶好調な模様。小生が昼の部を観劇した11月5日は、月曜日の朝の10時半から客席は95%埋まっていた。やや動員が落ちている夜の部も、恐らく後半には、昼の部を見て「続きを見たい!」と思った人たちが繰り出してくると期待できるだろうから、そうなればまさに「仮名手本忠臣蔵」が「独参湯」(どくじんとう=起死回生の妙薬)と言われる証しともなるだろう。
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作品と同じく長くなりますが、このアップを「大序」がわりの「その1」とし、5日(昼の部)、7日(夜の部)の観劇記を数回に分けて、見て感じたところ、思うところなどを綴ってゆきたいと思います。
何卒、よろしくお付き合い願います。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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