「遺憾である」
ホンマ、いかんな、こりゃ。
下手な洒落を言ってる場合じゃござんせん。
ここまで追い詰めて、なんで上陸させちゃうのか??(蘋果日報サイトから)
一体、何回香港人に不法に領土上陸されてるんだか。
小生の知る限り、3回目ですぞ。いや、4回目??
で、最もひどかった1996年秋の不法侵犯については、2007年に「返還思い出話」として振り返っているので、まずはご参照ください、是非とも。
そこでは1996年晩夏から秋口にかけて香港中に吹き荒れた「保衛釣魚台」の嵐について、何度かに分けて振り返ったまとめを書いております。
あのときは、ピーク時には毎週のように数万人規模の「抗日デモ」が繰り広げられ、総領事館からも在住邦人に注意勧告が出されるなど、非常に不愉快な日々を送ったわけです。まあ、運悪く「中国領海で中国人が泳いで何が悪い!」と船から飛び込んで溺死したアホがおって、それでさらに激化したんですがね。そんな 勝手に飛び込んで死んだ人のことまで「日本軍国主義」の仕業とかいわれても、知らんがな、と。
今回は土左衛門が出なくてよかったね!
(96年の抗議船で飛び込んで命を落としてしまった陳さん)
で、上で紹介した過去ブログの内容と今回の一件を比較してみますね。
【1】メディアの扇動
これは、毎回のように書いてきましたが、騒動の拡大の最大の原因はメディアの扇動でしょう。なんと言っても最大の功労者は『明報』。ことのきっかけが『明報』の「釣魚台陥落?」というセンセーショナルな1面見出しだったんですから。後はもう、部数拡張と視聴率UPのため、デマ、捏造、歪曲、…。ありとあらゆる「卑怯な」手段で部数と視聴率を伸ばし、異論を徹底排除、少しでも異論を唱えようものなら、文革さながらの「吊るし上げ」。メディアが一斉に同じ方向を向いたときの怖さを思い知らされました。
今回は、香港に拠点を置き、全世界の中華系人士向けに放映されている「鳳凰電視」のクルーが抗議船「啓豊2号」に同乗し、世界中に航行の模様を発信していること。香港人よりも、世界各地の華僑を意識しているのではないかと。
また、鳳凰電視が「8月15日を睨んだ反日番組」として世界に発信したく、資金援助もしてるんじゃないかと勘繰っています。(資金援助についてはあくまで想像ですが)
まあ、「台風接近で荒れる台湾海峡を乗り越え、迫りくる「日本海軍艦隊」を振り切って、見事釣魚台に上陸て主権を誇示!」なんてのは、テレビ的には一番オイシイわな。
【2】「ガス抜き」説に異議あり
当時、冷ややかに香港の反日を眺めていた日本のメディアですが、一応、さらっと「香港で反日デモ」 とかって感じで多少の報道はしていました。これまた揃いも揃って「返還前の不安定な市民感情の『ガス抜き』」という見解でしたが、これはおかしいんでな い? と思いました。市民感情はまったくと言っていいほど「返還前の不安」などなく、落ち着いたものでした。同年代(60年代前半生まれ)の香港人たち は、「『返還』は決まったことなんでなんともないけど、衝撃的だったのは、やっぱり1984年12月19日の中英共同声明で返還が決まったとき」と言います。そりゃ天地がひっくり返る思いだったでしょう。そんな感じですから、デモや集会に集まった人たちが「ガス抜き」に何万人も集まったとは到底思えません。
当時は「ガス抜き論」が日本でよく言われてましたが、今回は「ガスを抜く」必要はありません。
【3】「全球唯一勇敢的中華民族」
香港人、と一言で言いますが実は「血統書付き」広東人なんてほんの数%かもわかりません。多くは、国共内戦や文革から逃れてきた「元・本土人」およびその子供、孫たちです。「中国」におれなくなって逃げてきたのに、こうした人たちほど「中国人」であることを強く意識します。それは大変結構なことだと思うのですが、なにせ当時のここは英領。それこそ「ヴィラ・ロッチャ」とか「ラグナシティ」とかに住んで「アンディ」だの「ウェンディ」など名乗ってるわけで、じゃ、どうやって「中国人」たるべきか、となると手っ取り早いのが「反日」。
中共はODAに 目がくらんで言うことは言うけど最後は刀を鞘に収めるし、台湾の国府はトップ(李登輝)が日本大好きだし、国共ともに日本に何もできない。尖閣なんてちっ ぽけな島ぐらい、ババーンと攻め込んでさっさと奪い返せばいいんだ! なんて思っちゃうわけです。「中台が何も言わない、しない腰抜け野郎どもなんだか ら、香港がやるしかない!」となるわけで。
そこで連中は「全球唯一勇敢的中華民族」なんて、いい気になっちゃって…。
当節、「全球唯一勇敢的中華民族は香港人だ!」なんて言うアホはおりませんが…。
アイデンテティについては、これは香港に永久にまとわる悲哀ですね、恐らくは。今回、不法侵犯した連中は、6月4日には「天安門事件の再評価」を求め、デモや集会を開く民主派の一グループでもあります。一方で中央政府を糾弾し続け、一方では尖閣に行って五星紅旗を打ち立て、「中国領だ!」と叫ぶ。ネットを見ていても、「海軍が行ってさっさと悪辣卑劣な日本軍から領土を取り返せ!」、「解放軍は何をしてるんだ!」という意見が多く見受けられます。香港にもこんなこと言う人がいるんだ、いまだに!とびっくりしたり。
返還前は英国へのルサンチマン、返還後は中共へのルサンチマン…。そして「自分は中国人か、香港人か」の悲哀を感じます。同情はしますが、と言って、それに我が国領土がかような如く利用されては、たまったもんぢやありません。
そういう傾向は一般市民よりもいわゆる「民主派」と呼ばれる政治家や活動家に強い傾向があると感じたものですが、今日のネットの書き込みなんか見ていると、意外と若い人たちにもそういう意識があるんだというのも見えます。
「文革」も「天安門」も知らない世代が、やはり6月4日に中共に怒りの声を上げ、一方で、尖閣不法侵犯の連中を賛美し、「中国」というものへの強いこだわりを見せる…。いやはや…。
【4】民主派
返還前で唯一不安を感じていたのは、やはり民主派でしょう。一貫して「平反六四」として天安門事件の責任追及をし、民主化を唱えてきたわけですから、当時は中共にとっては非常に厄介な存在だったわけです。そんな民主派が最後には、人民解放軍に武力行使を申し入れたり、尖閣に不法上陸し、日本国総領事館を占拠するなどテロ行為に走ったのでしょうか?
「反日」の予想以上の求心力に魅力を感じた
これは好都合です。根底に反日ありきの香港ですから、
・返還後も民心をひきつけるツールとして使えそうだ
・中共と認識を共有できる部分もあるぞ、ということを各方面に明示しておきたい
そして何よりも
・民主派自身が返還1年前の「不安」を吹き飛ばしたかった!そうだ、「全球唯一勇敢的中華民族」って叫ぼう!
要するに「ガス抜き」したかったのは、民主派ではなかったんだろうか?と思うわけです。
以前から何度も指摘していますが、奴らとてシナ人。「全球唯一勇敢的中華民族」って叫んで「愛国者」になればそりゃ気分も晴れ晴れするでしょう。
それがエスカレートして、派兵要求、領海侵犯・不法上陸、領事館占拠などの暴挙になってゆく…。
結局、「全球唯一勇敢的中華民族」「愛国者」などのフレーズに酔いしれていたのは民主派だった、ということでしょう。
「打倒日本軍国主義!」「日本の右傾化を警戒せよ!」などと言いますが、自分たちが一番「右傾化」していることをすっかり忘れて舞い上がっている姿は、実に哀れなものです。
という結論に達するわけです。
今回、連中が真のところ何を思って尖閣侵犯を試みたのかは、わかりません。
9月の立法会選挙に向けてのパフォーマンスだとしたら、逮捕されて思惑通りだろうし、鳳凰電視が煽ったとしたら、こんな画になる事件は無いし…。
いずれにしろ、連中のパフォーマンスに尖閣諸島が利用されてるわけですから、我が国の国防も相当舐められているということです。
拙ブログでおなじみのw 過激な民主派「長毛」こと梁国雄立法会議員も尖閣抗議「保釣行動委員会」の主力メンバーの一人
同じく過激民主派の「阿牛=牛クン」こと曽健成(赤シャツ)もメンバー。今回、逮捕されてる一人じゃないかな
そういえばこの日には、郡司農林水産相が「フードエキスポフェア」のために訪港したんですね。この催しは日本が公式パートナー国でもあり、日本からも200以上の企業などが出展とか。96年当時なら、それこそ開催すら危ぶまれたと思うけど、今は普通の香港人は「それはそれ、これはこれ」と割り切ってるはずだから、今回も盛況に終わると思うな。
ま、過去の香港における尖閣騒ぎを振り返りながら、相違点と相似点をざっくりとさぐってみましたョ、と。進歩のない抗議だな~というのが正直な感想ですわ。
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COMMENT:
AUTHOR: tafu
DATE: 08/19/2012 01:21:11
ご無沙汰しております。
昨日(8/18)、フードエキスポに行ってまいりました!
日本の展示スペースも仰るとおりの大盛況でした。
香港、内地企業の出店するパブリック・ホールでも、日本人の小生に対して愛想よく話しかけてきた人が多かったです(「買家」のタグをぶら下げていたからかも知れませんが)。
それにしても、“民主派”の保釣船が中共の海監の船に護衛されて香港に戻ってくるという漫画的状況を、保釣の連中はどう考えているのでしょうかねぇ・・・
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COMMENT:
AUTHOR: leslieyoshi
DATE: 08/19/2012 23:56:33
To tafuさん
ご無沙汰です!
ほんとに民主派ってのは…。
「香港民主派の正体」で、本が書けちゃいますよね。
それ読んだら、香港の民主活動なんて支持できないですョ、きっと。
在大阪香港永久居民。
頑張らなくていい日々を模索して生きています。
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